2017年6月2日金曜日

フナが釣れなくなるのはもちろん原因がある

 5月に入ると生き物は活気が湧いてくる。山も田んぼも草木も、寒かったときからとき放たれて、彩をつけはじめる。花もしばらくは目に映らないでいたが、競って鮮やかな色を身にまとって太陽に向かう。釣りに心ある者も例外でなく、このときには季節の変容におくれまじと色めき立つ。

 春先のフナつりがことしも3月末から始まった。「乗っ込み」(産卵前の荒食い)前の、つまり冬の季節の渋い食いから、いつ転じてフナが口を動かすのかのワクワクするときだ。イントロ部分としてある、釣れないとき広い意味で釣りの味わいのうちなのだから、必ず来るその時期を前にして、心ときめくのは当たり前だろう。春のフナつりはこの醍醐味を狙って4月に開催される。この連れ具合が年々低下していることが、記録からわかってくる。

東京労釣連、春のフナつり大会記録から
(2013年は中止)

 千葉県の与田浦周辺という釣り場は変わらず、時期も釣り方も同様なので、ほぼ同一の条件と言える。参加者は違いがあるとして「釣果人率」をみると驚異的に下がっているのがわかる。水温、水質、生息環境などが主なストレスの元とすると、相当な圧力がかかっているのではないか。

 釣り場範囲のなかでもあちこちで釣れていたものが、現在は釣果の偏りが顕著になっている。たかが「釣り」でも、二酸化炭素問題やゴミ廃棄、「ふゆみずたんぼ」(稲の借り入れの後、たんぼに水を張って春までためておく)、水路の造成(水田魚道)、外来魚駆除などへの関心を持たざるを得ない。自然の中で無心に遊び心を膨らますには、釣りだけしていても叶わないということなのだ。