2013年3月28日木曜日

恐怖の音


 向かいの住宅建設は土台の工事に入った。一日中エンジン音が低く聞こえて、昼食時もさしたる休憩も取らずに働いているようだ。ときおり、ちいさいアラームが聞もこえてくる。アラーム音は大きくはないが、家で年寄りが呼ぶときに使用しているアラームと同じ音で、呼ぶために鳴らしたのかと思って間違えてしまった。年寄りが二階と行き来するエスカレーターは、乗って使用している間は、鳴り続けている。

 音は家の中の様々なところで、「緊急」を教えてくれる。一番多いのが冷蔵庫の扉が閉まらなかった時のアラーム。それから多いのが電子レンジの終了音。風呂にお湯を貯め込んで、一杯になった時には「曲」のアラーム。湯沸かし器の沸騰後のアラームも「曲」。炊飯器も出来上がりは童謡が教える。

 ガスレンジがつけ忘れの場合も鳴るが、これは時たまなので発生源を特定するまで、迷うことがある。これにプラスして、電話と携帯電話が二つ。便利には違いないが、音に指図された生活は妙なものだ。昨夜の宴会場で、註文のアラームが、よく飛び交っていた。担当の人が少ないのか、なかなか来ないとみえて、何度も鳴らしているようだった。その音が、家の年寄りが鳴らす「緊急警報」に似て、鳴るたびに条件反射みたいな感じになって、落ち着かなかった。そのせいかどうかやや飲み過ぎた。