2014年2月22日土曜日

メダルが取れればいいわけではない。

 浅田真央選手が泣いたのを批判する人がいるのだとか。そういうときに、泣こうが泣くまいが大きなお世話じゃないか。うれしいことにつけ悲しいことにつけ泣く、年をとったらよけいにしかも勝手に流れる。人によって尺度の違いがあるだろうし、どこからまでは涙を流すなという規律など成立するわけがない。メタボのように平均的な物差しを無理やり当てはめるのは合理的でない。

 よく転ぶからでないほうがいいという、オリンピック精神からは度外れた精神の持ち主は別にしても、だいたいメダル獲らなきゃダメみたいな雰囲気で、緊張を高める結果に陥るのはいかがなものかと思う。選手たちがのびのびと競技を「楽しむ」ことができるのでなければ、世界中の人たちが楽しむスポーツとしては成り立たない。さる番組でメダルを撮った経験者が、メダルを取ることによって、予算がつくと話していた。荒川静香もスケート施設を拡充するために活動していたが、国の予算の使い方はお粗末極まりない。今回メダルを手に入れた選手も、手弁当で練習を積んだ人が結構いる。金メダルで300万円の報奨金が出るのだそうだが、海外での技術取得、練習にも相当の費用が掛かるだろう。「恵まれない環境から這い上がってオリンピックでメダルを取った」というお涙ちょうだいものが、いつまでも横行するようではなさけない。

 新都知事がソチに出かけた。もちろん税金で行ったのだろう。何を見ようというのかは知らないが、ソチの「公共事業」も的にはなっているだろう。2020年のオリンピックは、業界には「首都大改造」の言葉が飛び交っている。大企業先行型のオリンピック招致事業ばかりが、膨れ上がるのをマスゾエ氏はコントロールする気はないようだ。浅田真央がSPを失敗したのは残念だった。でも、自分が構成して成し遂げたというフリーの結果は、素晴らしかった。終えてからの泣き顔とそのあとの笑い顔はよかった。選手が報われるのは、メダルばかり求めるということだけではないと、改めて思った。


結果不振選手批判はブラック企業の論理為末大学 オリンピックを考える