2013年8月1日木曜日

昆布再生のダイナミズム

 北海道の昆布の話をHNKがやっていた。昆布は、成長すると長さ2メートル幅2050センチほどになり寿命は45年とされているが、放送では流氷によって半分が削り取れてしまうらしい。削り取られて裸になった岩は、3カ月もたつとまた、復活してくるという。オホーツク海の流氷が「栄養分」を運んでくることは知られているが、流氷がここまでやるかということに驚いた。岩に張り付いた「古い生物」を一掃するという、そしてそのあと復活をしていくという自然のダイナミズムに関心をする。

 昆布の栄養は、川からも取り入れられるということも付け加えられていた。川のミネラル分が成長に必要なものだということだ。でも一方「磯焼け」という現象も相当昔から警鐘が打たれてきたことだ。北海道の海には限らないが、人間の側の干渉はもっと「ダイナミズム」にあることは疑いない。ダムを造ることで、山・森から補給されるモノが遮断される。川の改変が海への打撃となっていることは、漁業者にとっては常識となっている。

 海からさまざまな生き物を頂戴している人間にとって、「水産資源」として資源化していることも、自然を尊重する思想とはちょっとずれていることではないかと思う。ウナギが絶滅危惧種間際になって、東南アジアに生息する「ビカーラ種」と呼ばれるウナギを原料にしたかば焼き製品が出回るようになった。鯨、マグロ、ウナギ…「水産資源」が枯渇していることを、もっと考える必要はないなだろうか。食の在り方を考える必要はないのだろうか。

 ウナギのかば焼きの臭いが無くなってしまう日本の夏は、「夏負けしないように食うか」という楽しみも文化もなくなること。海に囲まれて豊かな条件に恵まれているはずの日本が、多くの魚種について養殖放流している。石川県の伊根の舟屋では、ブリ漁で何年かに一回豊漁の時があった。豊漁の時に家を建て、祭りを挙行したという。「大量生産、大量消費」は過去のものにした方がいい。テレビはダイエットのコマーシャルを流し続けている。確かに日本人は子供も含めて「太め」が多くなっていると見受けられる。口から入るカロリーが多めだからこそのことではないのか。

2007年7月9日利尻島 岩が赤い