2013年10月29日火曜日

ミミズとイソメは血縁かも。

 ミミズが徘徊しているのはなぜなのかという疑問が解けなかったが、イノシシの好餌になっているということで、連想ゲームをすることになった。なにせミミズには日ごろ深くお世話になっているから、他人ごとにしておくわけにいかない。とはいえ、学術・学問的にやるなどはできっこないので、手ごろなパソコンを使っての情報収集の範囲でということで。
この問題に7年間も実証的に研究している方がいた。研究された内容については、綿密に記録がされていて、なるほどと受け取れる。抜き書きをすると、

□ある種類のミミズは夏のある特定の日、 それは新月から22.3日に当たる日に他の日に比較して多く出現する
□徘徊していたり干からびているミミズはフトミミズばかりでシマミミズなど のツリミミズはほとんど見ませんでした。
□水分がなくなると、とたんに温度は上昇し、一斉にミミズが逃げ出してくる。やはり、表層に棲むミミズにこの傾向が強い。根こそぎ出現するため多いと感じるし、その後その場所ではミミズの生息数が少なくなり、ミミズ をしばらく見かけなくなる。 
□低地に棲む浅・深層性のフトミミズは、夏の夜には 多くのミミズが巣穴から体の一部を出している。そのうちの何割かのミミズは巣穴から離れ移動している。
□表層が湿っていたり湿度の高い夜には、普段より多く のミミズが移動する。雨のときは巣穴に閉じこもっているが、雨上がりには湿っているのでより多く移動する。



などといったことが、まとめられている。
この中にある徘徊する「特定の日がある」ことが気になった。この点に関して詳細な観察記録がある。

「毎年、年に一度のある日、それは月齢22.3±0.7の日をピーク とした出現です。ある種のミミズは春から秋にかけて毎日のように路上を徘徊しますが、最も多く出る日は月齢が23日付近でした。フトスジミミズ、ヒツトモンミミズ、アオ キミミズ、ハタケ ミミズなど表層性のミミズで見られる行動です。今のところ鎌倉の一地域(二箇所)でしか確認していません。地形は山を切り通して できた道路でです。
 月の位置は位相角や月面の輝度で言え、下弦の日は位相角270度のときですが、月の軌道が真円でないことから月齢すなわち新月の位置から の日数は、ばらつきがあります。じつは、このミミズたちの出現は位相角=月の位置、では なく、月齢つま り新月からの正確な 日数を経て出現しています。22.3日、95%信頼区間0.7日の出現です。下弦付近ではありますが正確には月齢が問題となります。」

ということで、月齢に相関していることがわかったということです。ところで、「バチ抜け」と呼ばれる、ゴカイ、イソメなどの多毛類が産卵のため川底の泥地から這い出て水面を浮遊する状態が、2月の大潮前後があることに関連して、

「ある種のミミズも、この月明かりを引き金として15日周期で地表に出現していたのです。もちろん曇りや雨の日もありますが、晴れている日に月の光を浴びて、体内時計の補正をすればよいのです。
 夜中に、穴から半身だけ出て何をするでもなく昼寝ならぬ夜寝をしていたのは、実は月光浴をしていたようです。こうしてミミズの種類によって半月や満月のころがわかりそれぞれの時期に出歩くということが考えられます。」
と推定している。
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イトメやイソメの月の位相と関連した生命現象について今島実著 環形動物多毛類 生物研究社 1996に詳述されていました。以下がそれです。
多毛綱ゴカイ科の環形動物で、生殖のために遊泳する生殖型個体のうち日本にいるものをバチという。ウキコ、ヒル、エバともいう。イトメのバチを日本パロロ(英名 Japanese palolo)ともいう。イトメは、砂泥中で生活している個体が成熟してくると、1011月の大潮の夜に雌雄の体の前方1/3がちぎれ、生殖物(雄は精子を、雌は緑色の卵)を充満させて泳ぎだし、生殖群泳する。 
   その他のゴカイの生殖時期は種によって異なり、新月後と満月後の数日 間に大きな群泳が見られるが、月齢、潮位、天候などに大きく影響をうける。
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 「ミミズの属する環形動物門は他にゴカイ類とヒル類が属していることで、イソメ、ゴカイ、シリスなどのゴカイ類(多毛類)が主流でその一部は退化または分化が止まったりし、一部が陸上に上がって貧毛類(ミミズ)になりその一部が淡水に入りヒル類になった説がある」
というのも説得力がある。

 そういえば、ミミズやイソメを持って、潮回りを気にしながら一斉に徘徊する釣り人も、月齢に動かされているのかと考えると、なにかとても可笑しい。「自然との共生、共存」の一面を見る思いがする。