2014年2月24日月曜日

ダム建設ありきの発想が幅を利かせるのは、おかしいと思わないのがおかしい

 最上小国川漁協が12月23日、山形県への回答書を提出した後の記者会見。県は「公益への配慮」(=ダム建設の邪魔をするな)を要求した、協議には応じるが態度は同じと故沼沢組合長が話す。県は回答書を玄関で受け取るという扱いをしたが、これもひどい話だ。
(再生28分かかります)



  最上小国川の漁業権更新時期に乗じて、漁協にダム建設を飲み込ませるというやり方は、不条理なこと違いない。原発マネーがクローズアップされたが、千葉沿岸の埋め立てもカネで飲み込ませたものだった。カネに加え、さまざまな行政の方策を使って、「ダム建設」という目的のために国も自治体も蠢くという不幸が、いつまでも続くのだろうか。
山形県のホームページによると赤倉温泉周辺の水害は、県が予備調査に入った平成3年までには、床下浸水3戸、温泉客86人避難というものだ。その後の大雨による被害も、護岸の決壊と床上・下浸水数戸というのがこれまでの被害になっている

S62.8.28 集中的な大雨により赤倉最上荘付近の
       一般住宅床下浸水3戸の被害  
H1.8   集中豪雨により最上小国川が増水し、赤倉温泉で
         宿泊客86人が避難
H6.9.30 台風26号の通過により、床下浸水6戸等の被害が         発生
H10.9.16 台風5号による集中豪雨 赤倉温泉で床上浸 水11戸、床下浸水 7戸の被害、住民と宿泊客が避難
H14.7.11 梅雨前線を伴った台風6号により最上小国川で5箇所、支流河川で22箇所護岸決壊や護岸洗掘、赤倉温泉では内水処理ができず床下浸水1棟発生、被害額0.9億円壊等
H16.7.17 梅雨前線による豪雨により最上小国川及び支流河川で数十箇所の護岸決壊等発生、被害額2.9億円
H18.12.2627
       季節はずれの豪雨に加え、融雪が重なり床上浸水2戸、床下浸水6戸の被害
H21.10.8 台風18号による洪水で、床下浸水3戸の被害


ダム建設に向かう山形県の動きでは、当初「水貯めダム」というものだった。現在は「穴あきダム」として変更になっている。ダムによらない治水という漁協の意見をはじめとした「意見や批判」によって変更におよんだものだろう。

H36 予備調査(県単独事業):地形・地質調査、治水計画の検討→H6.8「最上小国川ダム事業計画書」を策定
 洪水調節、流水の正常な機能の維持を目的とした「水貯めダム」(堤高56.5m、堤頂長530.0m
   ↓
H23.11ダム全体計画の認可:洪水調節を目的とし、平常時は水を貯めない「流水型ダム」(堤高41.0m、堤頂長143.0m

被害にあっている赤倉温泉地区の状況から、ダムによらない治水でという漁協の意見は十分に検討されたのだろうかと疑問に思う。山形県のやり方をみて、熊本県の川辺川ダムを思い出した。「ニセ承諾書」を了解の資料として通用させ、ダム建設ありきの結論を誘導したこともあった。不条理の積み重ねで後世の自然界に傷を残すようなことはやめるべきだ。数年前に止まった瀬見温泉の旅館に資料が置いてあった。地元の小学校では、小国川に生きる生き物を観察して、生態系を理解する教育をしている。こうして、自然の環境がつぶされていくのを、黙視してはならないだろう。これは釣が好きだということだけでない共通の財産なはずだ。

草島進一氏のブログから
…昨年末の漁業権更新について、県はダムを前提としたものではないと言及するものの、全体像を踏まえれば、明らかにダムを承認させる協議の場に漁協をつかせるために、漁業権更新時をとらえ、認可権を脅しに使い協議を迫った実態があります。吉村県知事は、12月24日の記者会見において、ダム建設と漁業権の認可との関連性について「ただ、まったく繋がっていないというのはあたらないと思っています」と関連性を認めるかのような発言をしています。

漁業法は、本来自由に任されている漁業に、漁業調整(漁場の総合利用漁業法による漁業生産力の発展)を目的として公的に介入している法律…