2018年7月27日金曜日

滝沢で動きまわった二日、クワガタが現れる


 浮世の付き合いが終わると、さまざまな手続きが残される。人が生きているという大きさと広さが実感される。残されたものが責任をもって片付けるのは世の習いだが、結構な仕事があるものだ。負の遺産がないだけ幸いに思わなくてはならないだろう。

 面倒を見てくれた従妹と話をしながら、庭に植えてお気に入りだったミズキ、桜の木がやせていっていることに、なにかの因縁を感じさせる。ミズキは年を追うごとにやせてしまって、木の上の方は申し訳程度の葉しか生えてこない。ひところは勢いがあった桜は、根元のあたりに虫が入ったのか、かなりの痛手を負っているようだ。16年前になるかブナの苗木を1000円で購入して植えたが、これだけはすくすくと育った。

 岩手山麓のこの土地は、ザレ場に土を盛ったところなので、平地に育つ樹々では環境になじまないのだろう。一時白樺もあったが、あまり成長が早くてほかの植木と競合して、処分されてしまった。

役所と金融機関の手続きで一日を使い、翌日の朝にブナの幹に立派なクワガタがとまっているのが見えた。これまで一度も見たことはなかった。もしかしたら「化身」かと、一瞬思わないでもなかった。