2017年12月15日金曜日

ブリ、カンパチの刺身があれば、つまみには上出来だけど

ブリ類の養殖で、稚魚が微胞子虫の感染(べこ病)で成長不漁や死亡してしまうことが多発しているとのこと。養殖では病気がつきものですが、飼料に混ぜた殺菌剤を魚が食べて、食す人間に影響はないものか。大丈夫という「調査結果」がでたことでの扱いなのでしょうが、気持ちはよくありません。
 
ベンズイミダゾール系薬剤の類の薬剤は動植物の殺菌剤として広く使われているようです。フグ類では既に使われているとのこと。天然のブリ、カンパチを食べたいと思っても、稚魚放流したものを食べるのだから、そうはいきません。純粋の天然物がないわけではないでしょうが、日本の魚類は養殖物に頼らなければ口に入らないので、避けるということもできません。

ブリ類のべこ病に有効な治療法を開発
 近年、ブリやカンパチなどのブリ類の養殖用稚魚で、微胞子虫の感染によるべこ病が多発し問題となっています。本病にかかった稚魚は、成長不良になったり死亡したりします。また、死亡せずに商品サイズにまで成長した場合にも、微胞子虫の胞子の塊やその痕跡が筋肉中に残り、出荷後にクレーム対象となるケースが認められ、大きな経済的被害が発生しています。本病に対しては効果のある薬剤が開発されておらず、未だ効果的な治療法はありません。特にブリ類の主要な養殖産地である四国や九州では被害が甚大であり、対策技術の開発が望まれていました。
 水産研究・教育機構は、近畿大学水産研究所、愛媛県農林水産研究所水産研究センター、鹿児島県水産技術開発センターと共同で、農林水産省の水産防疫対策委託事業により本病の治療法の開発に取り組みました。そして、感染初期の筋肉中における本微胞子虫の増殖の抑制や胞子の形成阻止に、フグ目魚類で承認されているフェバンテル(ブリ類を含むスズキ目魚類では未承認)等のベンズイミダゾール系薬剤の経口投与が有効であることを明らかにしました。また、感染初期に投薬を開始することが重要なため、原因虫の微量検出法も開発しました。この成果により本病の治療法が実用化されれば、ブリ類の養殖生産における経済的被害の軽減に大きく貢献することが期待されます。(国立研究開発法人水産研究・教育機構)