2017年1月23日月曜日

川は危険なことがあるが、その機能を排除するということでいいか



 兵庫県の都賀川は、「親水」の役割を認識して河川造成が行われてきた。阪神大水害や阪神・淡路大震災などの大規模な災害を経験している神戸市が、防災、治水対策を推進し、都賀川は1996年から2005年にかけて河川改修が行われた。

 河川改修では治水対策だけでなく、市民の要請を受けて環境への配慮を踏まえた親水施設をも整備した。また阪神・淡路大震災の教訓により非常時に生活用水として川を利用できるように緊急河川水利用設備も求められていたため、階段、スロープ、遊歩道などの親水設備、自然石や環境ブロックを利用した水路整備が行われていた。

 ところが、20087月に突発的な集中豪雨が雨水幹線の排水域に一気に降ったため、水難事故(とががわすいなんじこ)が発生した。水位が急激上がり、水遊びなどで都賀川や河川敷にいた16人が流され、5人が死亡する事故になった。川は親水施設として親しまれてきたが、この事故はそれまで想定されていなかった問題の対応を迫られることになった。

 国土交通省、神戸市は事故の被害を拡大させた最大の原因は、「気象警報を河川にいる人たちに向けて知らせる設備がなかったこと」と判断し、都賀川に大雨洪水警報および同注意報発表時に点灯する回転灯を設置した。このほか川の危険を警告する看板を複数設置、小学校での啓発向けにDVD「楽しい川、あぶない川」を配布してする対策をとった。

 京都大学と神戸大学の研究チームが事故後に行った付近の住民の意識調査を踏まえた上で、都賀川沿いは子供たちが親しめる環境である一方で、川自体が氾濫する危険性も秘めていることを認識する必要があるとして注意を喚起しているとのこと。

 昨今の集中豪雨による災害は、すさまじい被害を起こしているが、しかし川を排水溝にしてしまうという選択は、都賀川の経緯からして、簡単にもうなずくことのできないものだ。(ウィキペディア「都賀川」参照)