2017年9月4日月曜日

核兵器廃絶の意思が後ろ向きでは

 ワイドショーとニュースをずっと見ていて、「北」との交渉を言う人がいた。対話については、圧力をかけたうえでの対話という理屈で、武力を否定しない「説得」になっている。水面下での接触があるのかもしれないが、日本政府の場合は「話をしよう」という意志を表さない。表さないというよりないという方が正確かもしれない。

 モリカケで追い詰められて臨時国会はやらないと逃げ回っていた政府が、この問題では閉会中審査をするという、まったく身勝手な「国会利用」をした。偶然だとしておくとして、「困ったときの北朝鮮」として支持率回復の効用にするという姑息なやり方だ。Jアラートで国民を脅かして頭を下げさせておいて、ミサイルには届きもしないパック3、SM3-1Aで迎撃などと格好をつけるハリボテ防衛ではないか。

 だから対話という選択肢ということではないが、圧力重視以外のことはさっぱり見えてこない。アメリカ大統領と電話でしゃべったというだけだ。海外からのコメントは、「圧力一辺倒」については肯定していない。日本はなんでそんなに騒ぐのと、他国から言われる始末で、こんなに馬鹿馬鹿しいことはない。

 しかし水爆実験をしたという北朝鮮の行動は、もう一歩危険な状況を感じる。地球上の「戦争」はなくなってはいないが、なくするための努力をしてきたのは間違いない。北朝鮮の政権をどうこうするのは、北朝鮮の国民がきめることだから、外から政権を変えるということに手をかけるのは、余計なことだろう。また、政権の変更を外から武力でという選択肢はありとしたら、主権に対する侵害になる。悪い奴だからいいということにはならない。日本の首相に対して、モリカケであまりひどいから止めろという要求を、よその国からできるかを考えればわかる。

 地球上最大の暴力装置、つまり核ミサイルを外交取引の材料にするということだから、まったく肯定できることではない。それをやめさせるための方法が、ないわけではないだろう。さまざまな角度から影響をさせることはできるはずだ。

 つい先日核兵器廃絶の条約が国連で成立したが、核兵器をもつ大国は参加しなかった。日本も席には座らなかった。原爆の被害はもとより、水爆実験(アメリカ軍のビキニ環礁での実験)の被害にもあっている日本が、これでは核兵器を持つなという説得力は低いものとなる。核兵器は使用できない兵器として、ほとんどの国が認識しているのだから、持っている国が、そこに向けての動きをすべきところだろう。さらに、核拡散防止条約の「今持っているところは除いて、ほかの国は持ってはならない」とする「欠陥」条約の再検討がなければ、北朝鮮の核開発の手をも縛ることにならないのではないか。