2014年3月13日木曜日

回りまわって一日90円の賃上げ額でおしまい?

 春闘の賃金要求に対する回答があった。大手の企業で「満額回答」などというところもあって、「いい回答が出ている」という連合(組合)のコメントが出されていた。トヨタは2700円だった。2兆数千億円も売り上げていてのことだから、回答するのは当たり前としても、要求額も含めて随分とささやかなものだ。

(独)経済産業研究所の専門論文では「製造業の賃金は、1993-1998年の期間には上昇、1998-2003年の期間、2003-2008年の期間については大きな変化が観察されなかった。」「一方、サービス産業は、1993年以降一貫して賃金は下がり、1993-1998年は-3.0%低下、1998-2003年は-7.8%低下、2005-2009年は-7.9%の低下とその下落率も拡大した。」とある。

また、同文で「日本経済は 2002 1 月を谷として景気が回復し、2007 9 月に山を迎えた。この景気回復は、経済成長率自体は低いものの、1965 年~1970 年における「いざなぎ景気」を超える 69 ヵ月と戦後最長の回復期間となった。この景気回復に伴い企業収益は回復した一方で、賃金が伸び悩み…」と賃金が抑え込まれていたことをとりあげている。経済成長率が上昇して、低くても回復基調にあったときにも、「経済の活性化がそのうち回りまわって…」などということは全くなかったということだ。このことは、国会でアベノミクスの実態を共産党に追及されて、経済界に「お願い」したことで白日の下にさらされた。


賃上げされたトヨタの2700円は一日90円だから、4月からの消費税増税分の穴埋めにもならない額だ。生活改善のはしくれにもならない。連合の組合が、組合らしからぬ業績を慮るあまり、これまでろくに要求もしないから、甘くみられている。企業の側はさっさと、「今回は例外だ」と予防線を張っているが、それならアベノミクスは「賃上げ一日90円」程度の経済効果かよということになる。30年近くも賃上げどころが、賃金を減額されていた分はいったいどこに行ってしまうのだろう。