2013年8月29日木曜日

「玉や、鍵や」のイプシロン

 打上げができなかったイプシロンロケットが、失敗でなく「中止」というおもしろい表現を使った。コンピュータがロケットの姿勢について異常だと判断したのが、中止になった原因だとのコメントだった。
夏休みの子供たちもがっかりしたと、ニュース報道のネタになったが、それなりの夏休み貴重体験にはなったことだろう。

 JAXAの発表について、家族連れで見学していた側は、怒りもせず(だったんだろうな)ホンワカと残念さを口にしていた。「青空のなかに一瞬にして飛び上がるロケットに残る白煙…」湧き上がる歓声は、夜空の花火もどきで、成功すれば「玉や、鍵や」という声なき声も聞こえもあったかもしれない。

 中止と失敗の区別はどう違うかに疑問が湧く。たとえコンピュータの判断ミスであったとしても、コンピュータが判断したことでございますから、本当は打ち上げ可能だったのにできなかったことで、失敗にはなりませんということ?先日の地震速報で「コンピュータがノイズを取り込んでしまった」ということが起きたが、たしかにこれよりは、「被害」は小さいとでもいうのだろうか。

宇宙航空開発研究機構(JAXA)の発表は
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イプシロンロケット試験機 打上日再設定の見通しについて
平成25827()にリフトオフ約19秒前に打上げを中止したイプシロンロケット試験機については、現在引き続き原因を調査中であり、慎重を期して今後の原因調査作業、対策確認等を行っていくことと致しました。このため、打上げ日を8月中に決定することが難しい状況です。原因調査の結果や打上げ日については、わかり次第お知らせします。
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 JAXAは軍事用にも開発が意図されている団体だから、言葉に出てくることだけではホンワカすぎる。JAXAの長期ビジョンで「すべての人が、夢と希望、そして誇りを持てる社会を実現するために、JAXAは科学と技術の限界に挑戦し続けます。」とする一方、「アメリカは月や火星への有人探査を新たな計画に盛り込み、ヨーロッパ諸国では安全保障政策を実現する重要なツールとして位置づけています。」と安全保障に資することを目標に掲げている。

 そして、2010年の国家予算では、1,800億円が計上されている。「1800億円という額は内閣官房予算で開発される情報収集衛星 (IGS) の毎年約400億円の JAXA 分受託費用を除外した額であり、これを加えた場合の JAXA の予算は約2,200億円、他省庁の予算も含めた宇宙開発予算総額は3,390億円になる」とされ、情報収集衛星としての性格を混入されている。

「玉や鍵や」は、一世を風靡して両方無くなってしまったとか。新しい装いの花火も、きれいごとだけでは済まされない。