2013年10月23日水曜日

賃金は低いのがいいと、どうして言えるのか

 現職中、汚職防止の研修でビデオを見せられた。業者から10万円もらって業務に手心を加えるという内容だった。10万円で一生を棒に振るという図式が描かれて、それを防ぐのはどうするかという討論をさせた。当時は公務員に対する「批判」がマスコミでも煽られて、民間賃金が抑えられている「腹いせ」解消の役割を果たしていた。当時は公務員の給料はあれこれの理由づけで削られつづけていた。(今も変わらないが)。
 映像のフィクションなので、まともに言うのもおかしいが、研修が終わってから管理職に「10万円で道を外すなら、給料を削減しなければ汚職は起きなかったということか」といったら、課長は半ば同意していた。

 河内長野市で、生活保護支給をする担当者が、四百数十万円を横領した疑いで逮捕された。事実とすればなんら弁解のできない行為だが、この犯罪が確認できるまで一年以上も時間がかかったというのも不可思議なことだ。(みずほコーポレーションの暴力団への融資はもっと変)。
 チェック体制云々の議論もあるが、同様の仕事をしていた人が育児・休暇に入っていたということで、一人で受付から決定、支給までの業務をしていたことになる。「ペア制度」などチェック体制もマニュアル化されているはずだが、2年間も続けられたのは信じがたい。電算システムの管理と経理事務を担当しているということだ。「公務員を減らす」金科玉条のツケでなければいいと思う。

 JR北海道の「モラル低下」も人が絡む。業務改善のための提案、意見をだしても、資金がないということで資材の手当てもままならない。「言ってもダメ」という職場になっていることが元にある。いってみれば作り出したのは分割民営化を策した政府や財界だ。不採算を承知で切り捨てた。人員が発足当時に比べて半分になっているというのは全く異常なことだ。

 福一原発の作業員も「年間に浴びる放射線の限界」に達してしまう人が増えている。替りの作業員を確保できない状況が出ている。その作業員も23次下請けで、上前をはねられて使われている。
 「賃金が少なければいい」ということも神話みたいに思うのは、考え直さないといけないだろう。でないと表に出てくる不幸な出来事はもっと増えるだろう。