2014年2月8日土曜日

自然は人間をはぐくむと気づく若者

 「マンモス防潮堤が攻めてくる」というFacebookのページが見られるようにセットした。税金8000億円を投入して東北沿岸部に巨大な防潮堤がつくられようとしていることを考えようという趣旨だ。
 
 「防潮堤は100年に一度あるかどうかの”非日常の論理”で考えられているのに対し、それ以外の99年と364日をいかに豊かに生きるのかというまちづくりは”日常の論理”で考えなければなりません」との言葉に感心した。続けて高校生の声も紹介されたが、これもなかなかのもので「乾いた砂漠都市」に住む者にとって忘れてしまいそうなことを想起させてくれた。

「目に見えなくても」
 阿部愛里(宮城県気仙沼市 気仙沼西高校3年)

みなさんは小さい頃、自然を「不思議だ!」と感じた経験はありませんか?

私は、土は茶色いのにどうして赤や黄色の花が咲くのか分からなかったし、砂は誰がつくってるのかずっと気になっていました。「花の中はきっと物凄いことになってるんだ!」と保育園の花をこっそりちぎって、ワクワクしながら花を解体したけど、待っていたのはあっけない頭だけでした。あの絶望感は未だに忘れられません。面白いですよね?

私とは違っていても、きっと小さいころに自然がどうしても不思議に感じたり、自分と周りの生き物が同じだと思いこんだりした経験がある人は必ずいると思います。それをセンス・オブ・ワンダーと海洋学者のレイチェル・カーソンは呼んでいます。

私は今、18歳になって、花の中身がどうなっているか教科書で説明されてしまったから、なんだか少し悔しいけど、センス・オブ・ワンダーを感じなくなってきました。少し大人になったんです。

今、海の側に防潮堤が建とうとしています。県内最大の高さは気仙沼市小泉地区の14.7mです。先月、その小泉地区を歩いて写真を撮るというシンプルなイベントに参加しました。県内外のサーファーから愛されている海。綺麗な空には野鳥が飛んでいます。小泉には湧水が至るところから湧き出ていて、「小泉」という名前の由来にもなるほど、水に恵まれた土地です。風が吹くと砂が浮いて、サァーとうねりながら風の流れにのっていきます。そうしてはじめて尖がった頭を出す貝たちに出会いました。

「こんなところでも生きてるんだ!面白い!」

砂浜に打ち上げられた貝は年齢10歳、同じく10歳の小学生の顔と同じくらいの大きさでした。小泉は貝などの小さな生き物たちの楽園で、それゆえに空には野鳥がたくさんいます。街灯がないから夜は満天の星空と、聞こえてくる波の音が最高なのだそうです。ここにたくさんの子どもを集めたらきっと、とんでもないセンス・オブ・ワンダーに出会えるはずです。

私は将来、気仙沼で子どもの感性を高めていけるような教育をしたいと考えています。別に大きいことをするわけではなく、自分の子どもやその周りの子ども達が自然と触れ合いセンス・オブ・ワンダーを感じ、自分と他人のエンパシー(共感)を感じられるような面白い教育ができたら良いと考えています。

〈続きはWebサイト→『マンモス防潮堤が攻めてきた!』に〉

続きの一部コピー

 「いろんな人のいろんな意見がありますが、見えない防潮堤に目を向けてみてください。私は怖いです。海へ行って砂浜を踏んだときのワクワクする感覚、美味しい魚を食べて育ってきた私たちには分かるはずです。私はその感覚を忘れたくはないし、味わった人には忘れてほしくもないです。そして、できることならその感覚をたくさんの子どもに感じてほしいと思っています。」

 この防潮堤が地元の意向も聞かずに、決められたことに大きい批判があって、従おうとする県に対しても、さまざまな方面から批判があがった。NET署名からの要請もあり、自民党で「見直し」の声が出ていると報じられている。しかし、一時止まった大型公共事業のダム建設もほとんどが促進に切り替えられた現状で、素直に見直しがされるかどうか。名護市長選の結果もまるで民意もなかったと同じ扱いが平気でされるのだから、監視は怠れない気がする。