2017年8月26日土曜日

イージス・アショアがあれば備えは安全?

 シロウトが軍事の技術的な評価をできるわけはないと思いながら、HPを検索して効果を確かめてみると、やっぱりいろいろな疑問が湧いてくる。

海国防衛ジャーナル」に「イージス・アショアの対地攻撃能力は?」が書かれている。

 イージス・アショアのランチャーはタイコンデロガ級やアーレイ・バーク級イージス艦と同じMk 41VLSですので、対地巡航ミサイル「トマホーク」が収まります。イラクやシリアを攻撃したあのトマホークです。北朝鮮に対する敵基地攻撃論が沸き起こっている中でのイージス・アショア導入となれば、当然敵も味方も第三者も日本が対地攻撃能力を保有することに踏み切った、と考えるかもしれません。

 迎撃専用の仕様で導入するようですが、トマホークが発射可能な改造もできるということで、やっぱり「圧力」を大きくし、緊張感を高めるという効果は一番です。

シミュレーションの一つとしてノドンが北朝鮮・元山から東京に向けて発射されたとします。元山から東京までは約1,150kmです。ノドンのバーンアウト速度を秒速3,234m(マッハ9.5)とします。佐渡分屯基地の山地から発射されるSM-3ブロック2Aのバーンアウト速度を秒速4,410m(マッハ13)とします。SM-3ブロック2Aのブースターの加速度やノドンの加速度など他の要素もだいたい伝えられる諸元のとおりとしておきます。

この場合、ノドン発射から298.5秒後、SM-3ブロック2A発射から175.4秒後に元山から水平に542km、高度358kmの日本海上空・大気圏外で迎撃に成功します。SM-3ブロック2Aはマッハ15を超えるともされているので、実際にはもっと余裕をもって迎撃できるでしょう。ノドンの条件を変えずにSM-3ブロック2Aを青森の車力から発射しても、やはり337秒後に迎撃できました。

とありますが、SM3ブロック2Aがイージス艦に配備されるのは2018年からという説明もあります(イージス弾道ミサイル防衛システム)

これらは文字通り机上の計算ではありますが、イージスBMDはすでに実際の迎撃試験でこれらを成功させてきているので、否定するにはよほどの裏付けが必要となります。

とはいえ、イージスBMDの迎撃試験は失敗もある。

 2002年からSM-3を用いて23回の大気圏外での迎撃実験が行われ18回で迎撃に成功した。うち4回は海上自衛隊によるもので3回の実験が成功を収めた。イージス弾道ミサイル防衛システム

 備えあればという内容が、こんなことでちょっといかがなものかというというところ。足りないところは、増補するという論理も成り立つが、いくら軍事の拡大をしても果てはないという方が当てっている。こんな不毛なことは止めた方がいい。