2012年10月28日日曜日

東電が福島復興に全社員で…は?


 東京電力が起こしてしまった事故の責任は事業者として、大きな責任がある。被害を受けた住民や自然環境に対してこれから先償っていく責任を負っている。ここをあいまいにして、なおかつ原発を稼働させようとすることは、誰が見ても納得できることでない。

 東京電力が2013年4月から、全社員を福島に派遣して復興にあたらせるという方針を決めたと伝えられている。事業責任が問われ、反省もしていないものが復興支援となると、安全でないとはっきりした「安全神話」を将来に再構築すると意図していることになる。

 それでは責任の取り方が違うと思う。それに全社員3万8千人が年間延べ10万人体制で臨むということだが、電力事業遂行の意思決定にも加わらない「ヒラ社員」等が、全員で責任を取るべきことなのだろうか。

 東京電力が起こしたことだからと、会社全体、全員をターゲットにした批判はわかり易いが、全社員が雇用主と同じ立場ということは言えない。公務員の給与が高いという主張が、高級官僚と一般の公務員と同等として扱われるのと同じことだ。

 「坊主憎けりゃ」というのは乗りやすい。メディアも往々にしてそういう扱い方をする。雇用者は雇用主へのアイデンティティを要求されるから、マインドコントロールを受ける立場だ。そうしないと継続して就業することはできない。その意味での責任はある。しかし事業者が社会貢献、社会正義の意味をかみしめることを踏み外さなければ、こんなことにはならなかったのではないか。企業家の「良心」はないものだとは思いたくないが。