2014年4月7日月曜日

「流れ橋」という風流な橋が〈大〉東京に

 八王子市の郊外を流れる北浅川にある「流れ橋」という風流な名の橋がある。この橋を使う人が多くて、10分くらいの時間が節約できる近道になるということだ。地元の町会が橋を造ってくれるように、何度も市に掛け合ったが「費用対効果や人の流れの変化を精査」と言って、造る気はないらしい。江戸時代には、そこは馬で渡っていたという話もある。半世紀ほど前に車が渡れるほどの橋があったというから歴史的な交通路だった。

 高知県の四万十川は、沈下橋が多いことで有名だが、沈下橋を「流れ橋」と呼ぶこともあるという。全国各地にあるとのことで、関東にも久慈川水系には、大子町南田気 - 久野瀬を結ぶ久野瀬橋、常陸大宮市盛金にある平山橋、常陸太田市下河合町那珂市額田東郷にある落合橋などがある。この地方では「地獄橋」ともいうとか。増水によって壊れてしまうことを想定してあり、流れて壊れてしまっても、製造経費が「立派な橋」よりもかからないという計算も成り立っている。

 北浅川の流れ橋は、手作りで造って12万円ほどかかるが、年に4回も流されてしまったこともある。そのたびに有志が作り直して、地元の足を確保している。
 これに対して東京都は、2010年、現地調査で流れ橋を見つけ、すぐに警告看板を立て、違法工作物として「原状回復」を求めているとか。「橋が流れると川をせき止めるなどして危険。便利だからといって勝手に橋を架けるのは認められない。引き続き町会に注意を続ける」とのことだが、東京都に河川管理の責任はあるにしても、4年前まで知らなかったというのもおかしいし、橋が流れて川をせき止める危険というのも、そういう事実があったのかどうか調べた上のことなのだろうか。


 そんなハードな話よりも、〈大〉東京の八王子に「流れ橋」という沈下橋をほうふつとさせるものがあるというのが面白い。日本の風土が文化として伝わっているということなのだろう。東京都は強制撤去まではしていないが、ここは見方によれば歴史的遺産だから、小さな観光地になるのではないかと思う。グーグルの地図で場所を確認しようとしたが、解らなかった。