2013年2月14日木曜日

「悪徳ドキュメント 外来魚は人気者?悪者?」を視聴して


 NHKの2月15日(金)9:30~9:45 NHK Eテレ 再放送で「道徳ドキュメント 外来魚は人気者?悪者?」が流されるが、報道を見た感想

 西湖でヤマベの釣りをしていると、針にかかったヤマベをあげるときに、ブラックバスが追ってくることがよくある。ヤマベはブラックバスの好餌のひとつだ。ヤマベは暖かくなると岸際で餌を捕食するようになるから、私たちの釣りもののなかで、春から秋までにかけての釣魚として、楽しませてもらっている。

 西湖には、外来種のブルーギルも生息している。ブラックバスやブルーギルは、日本の生態系を破壊するものとして、現在は法制上駆除対象の魚になっている。この魚を日本に持ち込んだことが、現在の外来魚問題の始まりになった。釣れた場合はリリースしてはいけないことになっている。ただ、例外的にブラックバスに限り、山中湖・河口湖・西湖では漁業権が認可されているので対象外となっている。これにより、漁協は観光収入を期待して、バスの放流を繰り返し実施している。

 日本のつりは、釣った魚を再放流するという文化はないに等しい。おしなべて、食を念頭に置いた実用的な面を併せ持っていたものだ。日本に移入された外来種、バラックバスは猛然と食いまくる。小魚はなんでも食うし、エビ類、ドジョウなども根絶やしにするほどだ。これをつり対象にしてきたことで、「蜜放流」によってどこの湖、池、用水、河川までにも広がってしまった。

 「つり行動・活動」は、自然が当たり前に豊かであって生態系が保全されてこそ、楽しめるものであることは日々実感する。残念ながら、その自然も相当痛めつけられて、再生することがおぼつかなくなるという現状がある。水辺、海辺は必要の度を越えて改変されることで、魚の繁殖条件は悪化し続けている。加えて外来魚の影響がこれに輪をかけている。

 釣り産業も、ブラックバス、ブルーギルをターゲットにした釣り具やウエアーを開発した。一時はファションとして、若者の関心を集めたが、「釣れない釣り」として空振りに終わることが多いことで、今は楽しむ人は少なくなっているようだ。新宿界隈にある釣り具の量販店は、知っているだけでも4カ所が閉店してしまった。ルアー釣りをターゲットにした部門が影響を受けてのことだろう。

 ルアーつりでない釣りも、衰退はしているがルアーつりほどではない。最初のボタンのかけ違いがここまできているという気がする。ルアー釣りそのものを否定するものではなく、ルアー釣りの方が効果的な釣りはないわけではない。磯場のテレビで見た磯場のメバル釣りなどは、なかなか面白そうなものだった。エサ釣りでは及ばない釣りの対象を、害魚である外来魚から変えて楽しむ方法もあるだろう。

 駆除活動は全国で取り組まれている。私たちの釣りの会も遅ればせながら「駆除つり会」を2回実施した。西湖の漁協組合員の生活が立ちゆかないことを対立構造のように描いているのは、ちょっと掘り下げが足りないという気がした。釣りを楽しむものとして、日本の文化もかかわっていることにいささかの心配もしつつ思ったことだった。