2017年7月30日日曜日

上書きで恥の上塗り

 首相の国会答弁で、以前の答弁を事実上修正するのに、使った言葉は「整理をした」ということだった。国会の答弁だからそんなに軽いものでないことだし、だから修正するのは誤りを正すということであるはず。国の大切な動向の事柄について、まったくの「疑い」からの質問に、閣議決定で返答を決めて国会に答弁した。そのあとから悪びれもせず、混同したということ弁明だけでは問題が大きすぎる。

 国権の最高機関でのことなのだから、修正するときには、襟を正す真摯な姿勢が伝わってきて当然だ。そんな態度はみじんもなく「整理」したのだから、それで「理解しろ」で済むわけはない。現代用語でいえば「上書き」したつもりなのだろう。つまり「更新した」と気持を整理した。そんな風に思える。

 ブログを書いているとき、推敲が足りずに不正確な言葉を使うことがあり、意味の通らない文にしてしまうことがある。投稿してしまってから、気が付いて文言を修正するか、書き加えることになるが、この修正がいとも簡単にできる。パソコンがなかった以前なら手紙などの文章は下書きをするとか、間違い時によっては用紙を改めるとかして完成をしたものだ。今は打ち込んだ文字を消しゴムも使うこともなく、「上書き」すれば修正ができてしまう。

 失敗した、間違えたという痛みが前ほどないわけだ。国会での答弁とは、重みは全く違うがこの「上書き」の軽重がよく似ているように思う。


ASCII.jpデジタル用語辞典上書きの用語解説 - 既在のデータを新しいデータに置き換えること。オーバーライトとも呼ばれる。既存ファイルを上書き保存すると、同一ファイル名の内容が新しいデータに更新される。