2014年10月14日火曜日

魚が再生できない現状が肯定されてはいけない

 小国川漁協が、最上小国川穴あきダム建設を協定で容認した。漁協は漁業権水域を一部放棄し、補償は求めない。魚類生息環境の保全は放流による水産資源の維持と増大などとした。年度内に建設に向けて動き出すが、そもそも一時止まっていたものが、動き出すとはきわめて裏のある政治の動きなのだ。日本のダム建設が「再始動」している状況は、有権者側から見てまったくふざけたもので、「日本の政行政の継続」という「理念、論拠」も放り出している証拠だ。あとはどうなろうと将来に責任もたぬということ。無駄な公共事業の再開によって、見直しの反省もどこへやら本当の自然がまた一歩遠ざかる。

 環境の悪化によって、再生が不可能になった自然魚の漁獲をあきらめを得ず、放流稚魚や卵で代わりを賄おうということが、川でも海でもやっている「資源管理」だ。日本は海に囲まれて、山脈が多く川も豊富にあるから自然の環境が豊かだった。今はそれも話題にはならないほどの環境になってしまった。毒のないトラフグの養殖に成功しているというが、喜ぶべきこととしておくには、なにかおさまらない。
 
 アユの稚魚は、流れ込みとみると川を遡ることを試みる。三浦半島から流れ込む、小さな川でもそれを見ることができる。佐渡ヶ島でももんの小さな川に、どう見ても飛び越えられそうのない落ち込みに稚魚が泳ぎ寄っているのを見たことがある。日本中の川のほとんどが、人口の構築物によって、アユによらず海から遡上することを生態とした、サケ系の魚は上流への遡上ができなくなっている。

 最上小国川にある小学校では、川に生息している生き物の調査をしている。身近にいる生き物とかかわることは大事な教育だと思う。生き物に対する配慮、共生などを学ぶべきだ。人がすべての生き物との関わり合いと食に依存している環境が、破壊されていいのかと、問われれなくてはならない。それははっきりしているが、その自然環境が少なくなること、破壊されることへの批判の声はまだまだ小さい。生態系への思いやりはいま最も大きなことだ。動植物の生息に対する人の配慮が体系的に確立されるべきだ。生態系への乱暴な干渉は、人の活動に降りかかってくるに違いない。人ばかりが埒外で生き物の頂点にいるがごときの振る舞いが通るはずがない。

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 協定は県と漁協、最上、舟形両町の4者で結んだ。「県は流水型(穴あき)ダムを建設する」「小国川漁協、最上町、舟形町はダム建設を容認する」とそれぞれの立場を明記。内水面漁業振興に関しては、放流による水産資源の維持と増大、魚類生息環境の保全などを図る―とした。生息環境の維持・向上のための清流未来振興機構も設置する。期間は10年間。
 覚書は県と漁協が交わした。ダム建設に伴い、漁業権が及ぶ水域が減少することに対する漁業補償を漁協が県に要求しないことを確認。漁協は県から依頼された場合は漁場環境に対する調査や監視を誠実に受諾し、県は穴あきダムの穴詰まり対策や濁水対策に努めることなどを盛り込んだ。
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