2015年2月7日土曜日

故郷だから足が向くかな

 先がどのくらいかなどと、具体的にといっても測れもせずに、穏やかにかつ楽しくやれればいいと思う。これに少しだけ恰好を付けて、何かが残れば一番いい。この旅は撮影に徹する旅でもなく釣りの旅でもない、なんとなく案内役になった旅だった。しかしカメラだけは離すわけにはいかなかったから、新しい切り取りを持って帰るつもりだった。銀山温泉から送迎バスで大石田駅に出て、新庄駅まで列車で行ってから、次の肘折温泉に行く送迎バスの時間までは、2時間ばかり空きがある。昼食は山形名物の日本蕎麦だから、以前来たところを見定めておいた。

 最上公園の城跡に行ってみるが、案の定雪ばかりの趣で、滑らぬように歩いて通り過ぎただけ。もっとも雪がなくても桜の時期以外は、これはというほどでもない。蕎麦屋はなかなかで、天ぷらに板そばを頼んで少々のアルコールで盛り上がった。特にゲソ天がうまかった。アオリイカではなかったろうか。
新庄駅から送迎バスに乗って、一時間もかからずに雪の壁を通り抜けて、肘折温泉に着いた。ここはカルデラ館という共同浴場がある。ぜひとも連れて行きたいと、歩くつもりが10分出はとても無理だという。16時までしか空いていないので、難しい話になってきた。結局往きだけは旅館の車で送ってくれるということで助かった。

 この温泉は炭酸泉を飲むことができる。なにせ胃が疲れ気味なのだからうってつけだ。朝方ならお湯がきれいなのだが、午後のせいか少し濁っていた。帰りは温まった身体で、傘に積もる雪の重さを時々払いのけながら、緩やかな下りの坂を温泉街まで戻った。20分以上はかかったろうか。

 旅の折々、温泉の部屋で飲む酒を仕入れたが、「花羽陽」(はなうよう)という酒が旨かった。帰りの新幹線まで楽しませてもらったが、この酒は肘折温泉がある大蔵村にある、山形県では一番古い蔵元で造られたものだった。以前に写真展をした金山町の特産品に「金山田楽」という酒がある。この酒が旨いので、昨年も注文したことがあったのだが、この酒造元が同じ小屋酒造だった。








旅館の窓から撮影