よく釣れる人は実によく工夫している。記録もつけて仕掛けもちゃんと自作で準備する。釣りの世界でも竿や糸はより良いものに変わっていく。
道具と思考、経験を蓄積して「科学的」に次への展開目指す。こうして次の釣りに備えるが、往々にして「返り討ち」に会ったりする。これがたまらなく面白い。
「釣果」という専門用語でどのくらいの数が釣れたかを表す。大会や競技ともなると数を追って釣ることになる。このことの疑念がないでもないが、千葉県の三番瀬を守る運動で、釣りは結局今ある生き物を殺してしまうという疑問が呈された。
水産試験場(旧名称)の研究者からは、ハゼなら釣りによって失われる数は銀行利息のようなもので影響はないという話が紹介された。自然が健全であれば問題はないことがわかった。
東京湾でも、半世紀も前から埋立が頻雑に行われて、干潟が消失して、稚魚が育つ環境が圧倒的に狭められた。その上高度成長政策によって引き起こされた公害の汚れが、河川、海を汚染した。
いまでこそ、湾内の埋立や開発が鈍化し、「ほったらかし」になったことで、それなりの自然環境が育ってきているようにも思う。しかし、東京湾の漁業者はもう壊滅的に減少してしまった。