2013年1月4日金曜日

「自然回帰」で魚が増える


 クロマグロの6割が養殖をしたものを利用していると、ニュースで報道していた。水産技術センターなどが懸命の努力をして、栽培漁業を研究して海の活性化を図るが、しかしそれも限りがある。昆布や貝類ももはや自生できる状況がない…近海で獲れる魚は減っていくばかりだと漁業者は嘆く。獲り過ぎていなくなったということよりは、自然の本来持っている生産能力が減退しているという事情の方が主要な原因だ。現在はその上、魚群探知機や性能のよい船が使われて、少なくなった「資源」を競い合って獲ることになる。これでいいはずはないのだが、政治の関与まで含めて、期待をもつ状況にない。

ところで、
コイ、フナは、弥生時代に人間との共生が始まったようだ。漁労は古墳時代にはすでにやっていたようだが、漁労の道具だった土錘が、弥生時代にはあまりでてこないらしい。弥生時代には、低湿地に水田を切り開いて水稲が発達した。その農耕生活で、雨が降り、田から濁った水が流れ出たとき、産卵行動に入るコイ、フナを見た。=弥生人は大喜びしただろうと想像する…

HP

 田を耕す道具も、さしたるものでなかったから、川で濁り水を待っていた魚が、容易に田まで遡上できる構造だったのだろう。排水路を遮断して魚を集めるワナをしかければ、農耕の合間に取り込めばいい。であれば、弥生時代に近江から土錘があまり出ないという事情もうなずけることだ。

 コイやフナが上等な蛋白源であった過去を、今に持ち込むのは無理だろうが、自然にダメージを与えるようなことは、その頃はやっていなかった。自然を畏れ敬って、結果的に「大事」に付き合っていた。共生などという口はばったいことは言わずに。
 この田んぼの自然回帰のために「水田魚道」を施設するという取り組みが、広められている。川から水田までの比較的簡易な魚道を造って、魚類を登らせようという狙いだ。

 宮城県の伊豆沼や愛知県などで熱心にすすめられている。まさに、「弥生時代に遡ろう」ということだ。これが普及していけば、
田園にドジョウ、タニシ、ナマズ、コイなどの生き物が復活し、鳥も食餌に訪れて養分を補てんして、土を肥やす。コメもおいしいものが収穫できるだろう。
 与田浦周辺(千葉、茨木県)のフナつりには、この環境が起死回生の一打になるような気がするけども…。

愛知県HP