2015年1月23日金曜日

クマ対ヒトのせめぎ合いはクマに軍配か

 昨秋、長野でツキノワグマが里に出て、人への被害が増えて過去最高になったという報道があった。エサのドングリが不作だったということが原因の一つとされていた。エサが無ければ里に下りてきて、農作物でも柿でも食べるという。荒れた里山が徘徊しやすい環境を与えているという指摘もある。農家の継続ができなくなって、里山の保守管理もできず、暮らす人も減るということで人の「生息環境」が不活性化してきてしまった。

 そこにクマが出没するということになった。したがって、クマの繁殖数が増えて、その分だけまた食糧不足に陥っているという見方もある。昨年春に、岩手県だったが数少ない渓流釣りでも、出会ったのだから推して知るべしという感がする。増えているクマを狩猟で減少させることも、高齢化によってできなくなっている事情もあると言われている。

 「地方創生」の呼び声で、自治体の動きも伝えられるが、こうした現状に適合した地方の活性化ができるのだろうか?コストパフォーマンスなる物差しで、金にならないところは切り捨ててしまう発想では、クマの生息テリトリーがもっと増えてしまうことにもなりかねない。

 「甘み」や「苦み」などの味覚が認識できない子供たちが30%にも上るということが、東京医科歯科大学の調査でわかった。濃い味の飲食によるものと言われている。美味しいものを探し回る力は、人の生活よりもクマの方が幅を利かしているようだ。