2012年5月23日水曜日

朝日新聞はおもしろい

 スカイツリーの騒ぎようを取り上げて、自らトップ記事にしたことの説明を書きこんだ。経済効果100数十億と言われては書かないわけにもいかないか。行っても見たくなるのが心情だし、行けば「美味しいもの」の一つや二つ買うことになる。商売に良い影響は出るには違いない。


 観光地化して人を集めるという「観光立地」は悪いことではないと思うが、それが主の目的になってしまってはちょっと異論をはさみたくなる。東京での事業活動の拡大にばかり熱心で、東京の歴史や文化の香りなどは後景に追いやられることでいいのか。


 テレビの「ブラタモリ」などを見ていると、東京の成り立ちが伝わってくるが、まず歴史や伝統文化を今に大事に伝えていないような気がする。東京の地域特有の文化の消滅の上に都市化がすすめられている。


 民族学者の宮本常一が、確か秋田の栗駒地方に「地域振興」で訪れ、観光についての相談を受けたとき、「地域の文化を飛び越えた観光はするべきでない」という趣旨の話をしたという。


 東京が観光地となって、富山県から「液状化が起きる危険な」ディズニーランドへ来る途中での事故に及んだ。港区の森ビルに人が集まって、回転ドアに子供がはさまれるという事件もあった。強いて人を集めて金を使わせるのが東京のあり方なのだろうか。


 スカイツリーからの展望は世界一じゃないかというコメントも言っていた番組もあった。それはあんまり高いから、余計なものが見えないからと言ったらどうだろう。国会の「消費税、福祉一体改革」のつまらない手続きふっかけ論議も見えないし、法人税を負けろと言っている財界の顔も見えないだろう。


 消費拡大で景気が良くなるのは疑いない。正社員の雇用拡大や、必要な公務員の確保、最低賃金の引き上げをすれば、住民税や健康保険、年金の財源も増収となるから、経済効果は東京に限らず大きなものになるのではないかと言わせていただこう。