2013年2月19日火曜日

防潮堤があればいいわけではない

 「国土強靭化」の掛け声で、被災地と全国の海岸整備がすすめられている。宮城県では一律にすべて防潮堤を作ると決めているらしい。千葉県市川、船橋にかかる三番瀬も、干潟を残せという運動が続いているが、全国規模でもすでに海岸の半分以上が人工海岸だと言われている。ここに防潮堤を作ってしまうことで、海との隔絶がいっそうすすむことになる。

 宮古市の田老町は10メートルの護岸を2600メートル敷設していたが、規模が世界一であっても3.11の津波では乗り越えられてしまった。津波への備えは防潮堤だけではないだろう。先人の残した知恵や教訓もある。一律に一定の高さでというわかり易いだけが取り柄のやり方は、「造ったのだから」という言い訳が先に聞こえそうだ。ここにも、膨大な鉄とコンクリートが投入される。

 28日に日本の海岸を考える集会が開かれた。宮城県気仙沼市のNPO法人「森は海の恋人」の畠山さんは、「海が見えなくなってかえって危険。赤潮の発生で漁業への影響も」と発言したとのこと。「海岸は海と陸とを結び、生物多様性の高い場。日本のコンクリート化は世界でも特異」との見解もだされた。

 干潟や浅場は海の生物の育成に重要な役割を果たすところであり、そこで人が海に触れることで、生き物を理解することや、自然の大切さと脅威を学べる場所としても大事なところだ。海側を隔て、一方的に敵に追いやることだけでは、浅薄過ぎる。

ここにも防潮堤?ここの北側は「豊洲新市場」。お台場の周りに防潮堤?

東京湾有明北埋立地