2014年3月12日水曜日

この機に350億円かけて江戸城再建という「東京開発」

 江戸城天守を再建して、この国を夢と希望、自信と誇りを持てる国にして行こうではありませんか!
という呼びかけをして活動している江戸城天守閣を再建する会(認定NPO)がある。江戸城天守は、江戸幕府の権威と権力の象徴だったが、今はその再建のために、国の財産を費やす時節ではないと判断し、先に延ばししたままになっていたものを、今やろうという話だ。

 要は観光立国として、世界遺産も視野に入れた活動をしていこうというもの。2020年五輪招致を機に、東京に観光客を呼び込もうという狙いがたてられている。「この『江戸城再建』のような、魅力と活力に溢れた新しい国づくりが、経済成長という意味でも一番説得力のある、大きなテーマになるのではないでしょうか。」と不動産業界が使うような文言が並べられている。

 昨日の3.11関係の報道は一様に、復興の遅れを表象する内容だった。復興の遅れは、避難先の生活が余儀なくされ長くなる分だけ、元の居住先に戻ることができなくなっていくことに結びついている。一日前の安倍首相の「甘言」とのかい離は大きい。

 オリンピック開催に乗じて、「東京改造」がさまざま狙われている。「東京を経済特区にして」と桝添知事も加速する側にある。一方では、大災害の時はあてにするものはそうないから、何日か分の備えを個人の努力でやりなさいという程度の対策に任せるだけ。環状7号線の内側に超・高層ビルを増やすことが、災害発生の際の被害度合いを高めることになる。今は死語になっているようだけれども、一極集中をもっと進めることしかやれないのだろうか。「経済」のためにはすべての投資先を拡大するといういいのか。これでは少なくとも、東北復興を見据えてはいない。

 江戸城天守閣を再建する会が言っている「保科正之の英断が、それ以降200年にわたる江戸期の社会の平和と安定の礎(いしずえ)となり、元禄、文化・文政の江戸文化が花開くこととなりました。」と江戸城再建を止めていたことの評価をそのままいただいておけばいいような気がする。「今、天守閣造らなくてはいけないの?」と。