2023年9月13日水曜日

ジャニーズ問題、メディアは甘い反省かな

 「ジャニーズの性加害問題で、マスメディアが正面からとりあげてこなかった」という特別チーム調査報告書の指摘を、メディア側がどう受け止めてコメントするか関心があった。政治の大事な問題でも、取り上げ方に不足がはなはだしいNHKが、このことでもどうコメントするのか。他のテレビ局もコメントを出したので、並べてみた。

 NHKの「Newsweb」ではジャニーズ問題でNHKコメント “報告書の指摘 重く受け止めています”として、言ってしまえばどこかでもよく聞くような、月並みな表現が使われて、276文字ほどの簡単なものが載せられていた。そのなかで、「NHKは職員の行動指針として『人権、人格を尊重する放送を行うこと』を定めている。性暴力について忽然とした態度で臨んできた。」と、やってきていると開き直りのような記述になっている。しかもその主語が「職員」となっていて、「NHK」とはなっていない。ジャニーズ事務所に対しては被害者救済と再発防止を要望、状況を確認しながら適切に対応すると、またどこかで繰り返されている「適切な」とぼかせている。

 関東大震災の朝鮮人虐殺、伊藤詩織さんの性暴力、入管施設の問題などについてNHKは人権、人格を大事にして報道してきたといえるのだろうか。

ーNHKNewsweb(デジタルニュース)

 コメントでは、「調査報告書で、ジャニー喜多川氏による性加害について『マスメディアが正面から取りあげてこなかった』などと指摘していることを重く受け止めています」とした上で、「NHKは、職員の行動指針として『人権、人格を尊重する放送を行うこと』を定めており、性暴力について、『決して許されるものではない』という毅然とした態度でこれまで臨んできたところであり、今後もその姿勢にいささかの変更もありません。ジャニーズ事務所に対しては、被害者救済と再発防止に取り組むよう要望するとともに、その実施状況を確認しながら、人権尊重の観点から、適切に対応していきたいと考えています」としています。

ー日本テレビ

 指摘を重く受け止め、性加害などの人権侵害は、あってはならないという姿勢で報道してまいります。人権を尊重した企業活動に努めてまいります

ーテレビ朝日

 テレビ朝日グループでは従前より、人権尊重を明確に掲げて事業活動を行っておりますが、調査報告書に盛り込まれたマスメディアに対する指摘を重く受け止め、今後ともかかる取り組みを真摯(しんし)に続けてまいります

ーTBSテレビ

 『マスメディアの沈黙』と指摘された事も踏まえ、いかなる性暴力も許されるものではないという姿勢で、今後も報道や放送に臨んでまいります

ーテレビ東京

 テレビ東京はこうした指摘を重く受け止め、人権デューデリジェンスの考え方に基づき、自社はもちろん、取引先についても、人権重視の姿勢を徹底するよう今後も行動

ーフジテレビ

 報告書に記されたマスメディアの過去の報道に関するご指摘を真摯に受け止めております。性加害が決して許されないことは当然です。当社としても、あらゆる人権侵害を防ぐべく対処していく所存です

 揚げ足取りのつもりはないけれども「今後とも」というワードも気になる。日本語的意味で考えれば、「これまでと同じ」だし、もっと言えば「やってきた」ということ。反省にはなっていない。そのうえ経営、事業、企業活動で取り組んでいたというのは、方便にも聞こえる。「メディアが正面から取り上げなかった」ことを問題視しているのであって、事業活動を指摘しているのではないだろう。