2016年9月3日土曜日

温暖化、気候変動に対策が十分でない

 岩手県岩泉でグループホームの高齢者が非難する間もなく濁流にのみこまれて亡くなった。避難指示や勧告を出さなかったということだが、それだけに責任を求めるだけではすまない。なんだこの台風はというほどのとんでもない動きをしているのはどうしてなのだろうか。「温暖化」というキーワードが気象予報関係の中から聞こえてこないのはどうしてなのか。国の機関が見解を持っていないということはないと思うのだが、なにかの不都合があってのことかと曲解もしたくなる。

 釣りをしていると「水温」が魚の活力におおきな影響を持っていることがわかる。水温が一度以下の変化、動きであっても就餌行動に違いが出るから、人間よりもずっと敏感に反応していることがわかる。渓流魚を釣ったときには、手を水につけて冷やしてからつかめとよく言われる。そのままつかむとヤケド状態なのだという。海の釣りも、気温と水温の変化によって、魚が岸に寄ったり深場に行ったりと、繁殖活動にも影響を与えている。魚だけということではなく、餌をふくめた生態系全体が温度の異変に支配されているということなのだろう。

 温暖化が与える負荷はいま途方もないほどの影響を与えているのではないかと、そんな話がたくさん出てくるようになった。神奈川県水産技術センターのメールマガジンで、相模川の河口で西日本以南に多い水生生物の種類が増えているということが、書かれていた。
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神奈川県水産技術センターメールマガジン  501
 相模川の河口に「馬入水辺の楽校」と言うビオト-プがあります。内水面試験場では、毎年、市民団体と連携して、観察会を兼ねた水生生物調査を行っています。このあたりは、淡水と海水が混じり、たくさんの魚やエビ、カニが生息する豊かな水域です。魚類は20種類程度、エビやカニ類も合わせて10種類程度は、毎回、採集されます。
 豊富なハゼ類やテナガエビ類、県内では珍しい希少種・アリアケモドキ(写真1)をはじめ多様なカニ類など、何が採集されるのか、とてもワクワクする場所です。
 しかし、最近、少し気になっていることがあります。昔と比べて生物相が変化し、採集される生物が変わってきているのです。クロホシマンジュウダイ、カワアナゴ、ウロハゼ、ヒナハゼ、ミナミテナガエビ、ミゾレヌマエビなど、西日本以南に多い種類が増加しています。特に昨年と今年の調査では、見慣れないすね毛の濃いカニが出現しました。「トゲアシヒライソガニモドキ(写真2)」という、ややこしい名前のカニで、汽水域に生息する南方種です。他のカニにも毛が生えた種は少なくありませんが、本種は8本のすべての脚に毛がびっしり生えており、まさに、「すね毛ガニ」です。その上に、小さな体の割には、はさみも大きいので、他種との見分けは容易です。
 ざっと調べたところ、高知県、大分県、沖縄県などから少数の記録がありましたが、分布の中心は東南アジアのようです。神奈川県では初記録になるかも知れません。これも地球温暖化がなせるワザでしょうか。昔から生息していた生物への影響が心配されます。

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 想定外を超えることの背景には、気象の状況を的確にとらえることが大切なことだと言える。それが、何十年に一回だの増えているだのという言葉しか聞こえてこない。あらかじめ、これまでよりもひどいよと、警報を乱発するがごとくの対応のままで、注意喚起になるのだろうかと思う。生態系から見える変動は、「危機的」な状況にしか見えず、ますます広がっていく。行政の対応で警報なり情報提供があっても、「これまでなかった」という意識を変えることができるのか。

 加えて、そのグループホームは蛇行した川の谷間で河川敷のなかにあるようなところだ。河川の有り様に対しての対処が違ってはいないのか。岩手の津波対策で「ここから先に家を建てるな」という言い伝えが、浮かんでくる。不動産事業の「自由」に何らかの規制、指導があってもいいのではないか。