2017年11月15日水曜日

墓の主の悪戯

 随分昔、墓の主に参ったときは、暮れから正月にかけての家族旅行の折だった。鳴子温泉から新庄に向かい、寺で墓参りをするのは雪かきをしてからのことになった。墓参りを終えて宿泊先のホテルに戻ろうかと、駐車場から車を出すときに、駐車場の柱を受けている縁石のとがったところと、タイヤの脇が当たってパンクしてしまった。

 スペアタイヤと取り換えて走り出すが、当時は替えタイヤが小さくなっていて、なんとも走り心地が悪い。それに雪が本格的に降ってきた。カーナビで近くの修理店を探すが、電話をしても大みそかにつき営業していないところばかり。ようやく天童の修理店がやっていることがわかって、タイヤを購入して修理することができた。

 そのことがあってからは、墓の主が「遊びのついでに来た」のを恨んで悪戯をしているのだと、専らの話になっている。それゆえ、昨日のように昼食になかなかありつけなかったりすると「悪戯かな」という話になる。しかも三日目はすっかり雨になってしまった。

 秋田の温泉に入っていきたいとの望みで、帰りの新幹線発車に間に合いそうなのを見計らって、行ってみることに決めた。露天風呂から渓流の流れが見え、滝のような落ちこみから流れる川沿いに複数の風呂がある。露天風呂のお手本のようなところだ。一眼レフで撮るというには雨が強すぎるので、あきらめざるを得なかった。温泉につかって温まってから、思い直して脱衣場に戻ってスマホを取り出した。だれもいないのを幸い、シャッターを切った。