2012年11月4日日曜日

権力を批判しているものは文化勲章を辞退すべきだという主張


 文化勲章、叙勲は権力を持つ側が政治的にやっているものだから、半権力を標榜するものは辞退すべきで、矛盾を感じないとすれば堕落だという主張があった。大江健三郎氏や杉村春子氏は文化勲章を辞退した。大江健三郎氏は「民主主義に勝る権威と価値観を認めない」という理由による。

 その後の辞退者はなく、教育基本法に反対した山田洋二氏、九条の会の呼びかけ人の梅原猛氏が受章、天皇制も批判した故井上ひさし氏も受賞した。これを喜んでいることは、半権力の立場でないという。

 そうだろうか。なぜもらうかは、その質問をしてみないと想像の域は出ない。ただちに「反権力」の立場に堕落したといえるのだろうか。周りでの「評価」なら、さまざま言える。受章してしまった人が今後その主張や批判を変えてしまうということになるのなら、「反権力」の立場からの「堕落」ということも言えるが、普通はそんなことはないだろう。350万円の生涯年金のために受章するという程度の懐具合でもないだろうし。

 先日こんなニュースがあった。
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内部通報の自衛官‘不当な制裁’と提訴

停職の懲戒処分を受けた陸上自衛隊1等陸尉の男性(42)が、内部通報に対する不当な制裁だったとして、処介取り消しと損害賠償を求める訴訟を26日、東京地裁に起こしました。
 訴状などによると、男性は藍綬褒章の叙勲候補者を推薦する業務に従事していた2007年、防衛省が定める推薦基準を満たさない受勲者が出る恐れがあるとして、推薦できないと上司らに伝えましたが、「任務違反」と叱責され、嫌がらせを受けました。
男性は上司の監督を無視し、推薦業務のずさんさを公にしようとしましたが失敗したため、09年7月に内部通報しました。11年6月に通報への回答が示されましたが、その後、07年に上司を無視したことが懲戒処分対象とされ、今年2月に停職6日の処分を受けました。男性側は「処分は、業務のずさんさを隠蔽し内部通報を形骸化させることが目的だ」と主張しています。

防衛省陸上幕僚監部広報室長の話
訴状を見ていないのでコメントできない
赤旗2012.10.29
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 叙勲制度が、「無理矢理」に推薦しても対象者を決めることもあるということが表に出た。こんな程度のものであるというをみると、どっちでもいいんじゃないのという気にはなる。