2013年12月11日水曜日

立つ瀬あればこそ

 特定秘密保護法案の採決を強行した翌朝の首相の顔ときたら、寝不足だか飲みすぎの朝なのか、むくんだ顔で「法案の中身は分かってもらえる」だの「説明が足りなかった」だのと御託を並べた。
 
 法律を扱っている仕事をしてきた者にとっては、法律の不行き届きは非常に困る。公務だから業務にかかわる事柄は、すべてが法律、条令規則、規定、要綱などで決められている。税はとくに課税の対象になるのかどうかは、きっちりと決められていなければならないが、ものによっては網の目のようになっているものも結構ある。民間事業者(経済界というか)の法律案作成時からの「ご意見」もある。解釈に幅がないように、関係者から意見を聞くことが必要だし、万全のものであるべきだが、意見を聞くところが一方的に偏っていては公正などどこかへいってしまう。

 地下駐車場に事業所税を課税できるかどうかは、解釈の域だった。担当者は不備な規定から解釈を生み出して、課税に踏み切ろうとしたら、上からストップがかかった。この税の本質は、担税能力に着目して作られたもので、一定規模以上の事業所に課税するような基準で作られたが、あれやこれやの手直し(非課税、減免など)で、ズタズタに刻まれているものだ。地方財政の赤字に対応するために、昭和50年に創設されたものだが、その後の改正は数的基準を少しいじっただけで、内容自体は旧態依然で、時代な変遷にも対応できていなかった。だから担当者はその意味での苦労も重ねていた。

 法律はずさんな時は特に、法律を運用する「役人」は、解釈するにあたって懸命に検討することになるし、問題が起きれば上部の判断も求めることになる。上部は大きくて強い声におもんぱかりかつ従って、通達なり要綱なりで「穴埋め」をしていく。それが、皆の目の届かないところでなされるわけだから、始末が悪い。

 特定秘密保護法は、目的も意義も許されないことだが、法律としてもズサン過ぎだ。解釈の幅を大きくして秘密の幅を際限なく広げられる。そんなものを強引につくった首相なり与党の軽薄さは、これまでみたことはない。憲政史上の大恥だ。
 釣りをたしなむ者は、立つ瀬がわかってくる。どこに立てば魚が釣れるのかは決まっている。そこに立って竿をだせば格好もいい。安倍なにがしの立つ瀬はない。それ以上に立つ居場所を狭めていくことには違いない。
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事業にかかわる事業所税
  事業所床面積      1000平方メートル超
  事業所合計従業者   100名超
新増設に係る事業所税→平成15年3月31日廃止
  新増設事業所床面積  2000平方メートル超
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