2023年8月28日月曜日

処理汚染水の放出は、多い少ないでない

 「トリチウムの排出量は中国が6.5倍も多い」との外国向け説明資料がある。

~中国が国内で運用する複数の原子力発電所が、今夏にも始まる東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出の年間予定量と比べ、最大で約6・5倍の放射性物質トリチウムを放出していることが、わかった。(6.23読売)~

 中国では、「現在建設中のユニットは24基で、商業用原発ユニットは54基、総発電設備容量は5682kWで世界3位、中国大陸部で運転中および建設中の原発ユニットは77基」(SciencePortalChina)とのことで、運転中の正確なユニット数はわからないが、日本の場合は51基中4基の稼働だから、排出するトリチウムの量は福島事故分を除けば圧倒的に少ないのは当前。

 溜まっているタンクの分を放出すれば終了するというわけではなくて、原子炉デブリの冷却水に漏れだす放射性物質はいつ止まるとも知れないのだから、比較するのもどんなものなのか。それに日本は再稼働するという政府の方針だから、そうなればトリチウムの排出量はどんどん増えていくということではないか。

 不安をなくすために手寧な説明をしていくと言いながら、国会の論議を十分することもなく、漁業者にも合わないでいて「風評被害」がなくなっていくわけはない。東電は「ALPS処理水放出に伴い風評被害が発生した場合の賠償」を「適切にする」といいながら、「統計データなどを活用して、対象地域における風評被害の有無を確認し」とその基準を勝手に設定している。政府は21年度22年度の補正予算で計800億円の基金を予算化したが、基金の運用だけで済む問題なのだろうか。
 環境を破壊する「放射性汚染物質」がすでに多量に放出されているうえに、福島原発の処理汚染水薄めてまた放出するのだから、多い少ないと比べている場合ではない。