2013年8月4日日曜日

安全確保には、ヒトとカネが必要だ

 笹子トンネルの天井崩落事故の対応で、今後3年間の維持修繕費を750億円上積みして2450億円に増額することになった。保安担当要員を3割強増員する。中日本高速はこれまで、点検や補修をグループ会社に外注していたが、幾分か自社に移管させて内部の点検体制を強化することにした。

 中日本高速道路は、道路関係四公団の民営化方式として採用された上下分離方式によって、道路施設の管理運営(いわゆる上の部分)を業務とするとされている。民営化の悪弊がここにもという形で現れたこの事故は、「利益」を出すことに比重が置かれることで、安全対策についての対策が軽んじられた。民営化が金科玉条に持ち上げられていることに警鐘にならなくてはいけないことだろう。
 カネとヒトをキチンと配置してこそ安全は保てる。この特殊法人の主要株主は国土交通大臣99.95%、財務大臣0.05%となっている。事故に至る国の管理責任は直接なものの他、こういう方式を進めてきたことにも及んでいくことではないか。

 笹子トンネルの被害者の遺族10人損害賠償請求を求めて提訴したが、中日高速や保守点検を担当していた中日本ハイウェイ・エンジニアリングなどの「過失責任」が問われている。

 会社は、「ブランド・スローガン」として、同社発足時に「みちの明日へ」が制定されたが、2010年の同社設立5周年を機に「道を通じて感動を 人へ、世界へ」へ変更されたという。他に同社の経営方針として、「世界一の高速道路会社をめざして」ということだそうだが、高速道路を造るばかりが世界一ではいただけない。

 アベノミクスで全国の道路を繋げるように、未完の道路建設をするとしているが、この様でまた維持管理の財政的な圧力が増えていくときに一体どうなるのか。心配なことだ。