2017年6月6日火曜日

釣りの腕達者が、外来魚ばかり釣って喜ぶわけにはいかない

 魚が釣れないのは腕のせいであることは、そのとおりだけれども、釣りの経験を重ねるにつけて、そればかりではないことが見えてくる。自分の腕をとりあえずさておくとしても、長年経験している釣果記録を見ると減じていく傾向がわかってくる。

 前回のブログでフナの大会の経年釣果記録を書いたが、フナだけでなく木更津周辺の「ハゼつり大会」や三浦半島の「磯の小物つり(ウミタナゴ、メジナ)大会」でも、釣果の漸減傾向が続いている。ハゼ釣り大会は、開催時の釣り場の範囲を拡大して対応しているのが実情だ。東京労釣連が伝統を伝えている「立ウキづり」は、西湖で気持ちの良い環境を味わいながら楽しんでいたが、釣果があまりの貧果のため、2014年からは桂川・上野原地区に釣り場を変更した。

 釣りの腕前の方は長期的にみて、全体として上達していると考えられるので、釣り場の対象魚の生息環境の悪化が原因とみることができるだろう。

 先日、日本労釣協の掲示板に「琵琶湖を戻す会」から「琵琶湖外来魚駆除の日」の投稿があり、4月に駆除大会を実施したとのことが載せられた。169名(新規49名)が参加して、駆除重量は184.0キロだったとのこと。記録的な駆除量だったという報告を読んで、毎年何回も駆除活動をしてのことだから驚き以外ない。

 温暖化の影響は、集中豪雨など気候の異変だけでなく、平均水温の僅かな上昇でも大きながある。外来魚が繁殖しやすい水温になっていることも大きい。

 ショウサイフグとゴマフグの雑種フグが東日本の太平洋沖で水揚げされているという報道があった。もともとゴマフグは日本海、ショウサイフグは太平洋と棲みわけていたのが、温暖化による海水温の上昇で、ゴマフグの生息域が津軽海峡を越えて太平洋に広がったという。魚体のどこに毒があるのかの特定ができないとのことで、したがって食すことはできない。

 交雑が進んで純粋種がいなくなったら、フグが食べられない事態も想定される。釣りの腕達者が、食べられないフグではつりの対象から外すことになるのか。伝統も技術もある各種のつりそのものの存在が、いま危機にあるのかと思う。今、東京湾はフグ釣りが最盛期。釣り人のお目当ては、ショウサイフグだ。トラフグより安いが、味は悪くない。ところがこのところ増えた雑種のフグがやばい。

ヤマベつり大会の経年釣果
2010年から西湖の平均釣果が4年連続して下がったのが目立つ