2014年2月23日日曜日

アユ釣りのメッカ最上小国川を自然のまま残したい

 「ダムはいらない」と板張りの看板に書かれた文字が、瀬見温泉の入り口にあった。故郷山形県の瀬見温泉は舟形から小国川沿いに鳴子方面に行く途中にある。看板を見たのはもうだいぶ前だったが、温泉手前の橋から見える流れを見て、アユつりには良い川だろうと思った。しかも流れに入って釣るにはもってこいの川相をしていた。それから何気なくこの川のことを気にかけるようになったが、ひなびた瀬見温泉に来るたび、橋から覗いてみると、広い川で伸び伸びと竿を振り、アユを釣っているところも見かけた。

 その最上小国川で、ダム建設に反対している漁協組合に漁業権更新の時期が来た。昨年の暮れに「公益上の配慮」を認めないと更新しないという山形県の圧力がかかった。「穴あきダム」を建設したい山形県が、漁協に邪魔をするなというわけだ。あまりひどいやり方を新聞もこの事実を書いた。相当の反響があったらしいことは山形県の対応でも知れた。

 浜松労釣のAさんからの連絡もあって、何等かことができないかと相談をしているところだった。結局今に至るまで具体的なことはできなかった。山形県のちょっとえげつない対応もあったが、漁協は協議には応じるがダムによらない治水を求める姿勢はかわらないという文書を県側に回答した。漁業権は問題なく更新された。
 ところが210日に沼沢組合長が自死されてしまった。29日に「釣りと環境」というテーマでシンポジウムがあった。そのとき最上小国川の事情を聴いていたから、なおさらショックを受けた。

故沼沢勝善氏が山形県の協議会で述べていたこと
 「最上小国川は、ダムのない川であるが故に、ことさら『清流小国川として広く知れ渡り、最上町と舟形町のかけがえのない観光資源であり、流域の人々に計り知れない多くの恵みをもたらしていることは誰もが認めることであります。
 小国川漁業協同組合は、川に生息している魚族の生態系を守る事及び繁殖保護に努めることを使命として、永年努力しております。ダムが造られれば、これまでの自然環境に変化を及ぼし、特に河川の生態系に悪影響が及ぶことを回避することはできません。
 生息している魚族の生態系を守り、これらの増殖保護を行いながら良好な漁場を維持していくことを使命とし、豊かな自然環境を後世に引き継ぐため努力している私共小国川漁業協同組合は、ダム建設を看過することはできないのです。
 小国川に育っている魚種は、質、量とも一級品として多くの人々から認められ、自然豊かな素晴らしい川として羨望され、たくさんの釣り人が訪れるのです。恵まれた自然環境は、人の手によって造られたものではありません。多くの豊かな漁場があり
清流小国川として広く世間に認められている大きな観光資源を未来に引き継ぐためにも、最上小国川の治水対策はダムに依らない対策を要望します。」

友鮎釣りのメッカ、最上小国川を語る。釣り名人 伊藤稔氏 他