2014年3月9日日曜日

鵜の目鷹の目の不動産、建設業界

 2020オリンピック目指して、不動産業界が期待をしているとの記事があった。「コンパクト」がコンセプトといっても、関連事業含めてどれだけの規模になっていくのだろうか。整備するのはむろん民間業者だ。
 選手村は青梅地区で約44万㎡。居住ゾーンは五輪後に住宅として、恒久施設として利用する。民間業者が開発したものを、開催中は組織委員会に「貸し出す」。賃借料は38億円だそうで、しっかりとしたソロバン勘定もできている。周辺の青梅地区で、超高層マンションの規模が1万人以上の可能性もあるという。

 加えて目玉で利用されるのが豊洲新市場。20163月には完成見込みで、東京都が地域活性化を目的として、「千客万来施設」として整備する。延べ面積は現状の23万平方メートルから40万平方メートル以上に拡大させる。千客万来施設も、民間事業者が整備する。市場に隣接する約17000平方メートルを、事業者が30年間の定期借地で借り上げる。公募型プロポーザル(主に業務の委託先や建築物の設計者を選定する際に、複数の者に目的物に対する企画を提案してもらい、その中から優れた提案を行った者を選定すること)では、「多種多様な飲食・物販店舗」、「観光客をおもてなしする施設」などの条件を付けた。

 それにカジノ施設の誘致先としても周辺が狙われている。交通インフラ整備の機運が「高まっているのは確かだ」という判断で、江東区は、東京メトロ有楽町線を延伸し豊洲駅と半蔵門線の住吉駅とを結ぶ計画を検討。中央区は、環状2号線を利用して晴海と銀座とを専用レーンで結ぶバス高速輸送システム(BRT)の構想もある。青梅地区、有明北地区などの「空き地利用」に五輪開催の大義が使われる。

 有明北地区の「原っぱ」は埋め立ててから14年たっても、空き地のままだった。「有明アリーナ」は新規に建設される。25日の報道で、液状化の被害調査で、東京では3.11の影響で確認されていたより2.7倍あったという調査結果が出た。防災対策が言われているが、南海トラフ起因の地震が現実性を帯びているときに、液状化が起きる心配をしなくていいのだろうか。豊洲新市場の汚染土壌に多少の盛土をしたくらいでは、対策にはなっていない。「観光客おもてなし施設」をつくるなどということが、移転の大義のなさを示していることでもある。2020年五輪開催で、「おもてなし」は必要としても、不動産、建設業界のもてなしではないかと思うところ大だ。

豊洲新市場の工事落札は、一度不調になって6割増で落札した。99.7%以上という恐るべき落札率。バレバレの額という以外ない。