2014年2月12日水曜日

かせ鳥の奇祭を楽しませてもらった

 上山温泉街を回って歩く「かせ鳥」行事は、江戸の大火災の時、火食い鳥が空を舞って火災を広げたように見えたことから、鳥に水をかけて火を止めるという「火伏せ」の意味があるとされる。家内安全、商売繁盛、火の用心、五穀豊穣を祈っての民族行事として伝えられている。明治時代に藩の行事だからということで廃止になったものを、昭和34年に有志が復活させ、毎年今の時期に催されている。

 そんな歴史を少しだけ気にしながら、上山駅からかせ鳥行列のコースを追いかける。上山城から出た行列が温泉街に向かっているという情報を聞いて、コースの逆から回り込んでおいかける。いたいた、軽自動車に乗って太鼓をたたくおかあさん。後をくっついて歩きながら笛を吹くお兄さん。「かせ鳥」たちは藁の衣を着、藁靴を履いて踊る。なにか唐傘の一つ目小僧のようないでたちだ。かせ鳥たちは、この寒空に水をかけられて鳥肌が立っている。まわりは面白がって騒いで笑っているが、みんなを楽しませようと、一所懸命に踊る。旅館の門前を回って歩きながら、願いがかなうようにと踊る。大変な役目だ。

 待ち構える店の人、子供連れの家族もバケツの水を汲んで用意し、柄杓やオタマまで使って、かせ鳥に水をかける。そのうえ、かせ鳥が纒っている藁を抜き取って、縁起物として提供しなくてはならない。子供たちも大人も踊りの休みの時によってたかって藁を引き抜く。女児がこの藁で髪を結うと黒髪豊かな美人になるという言い伝えだ。奇抜な祭りがあるものだと思いながら、上山駅の休憩地点までついて行った。カメラを持った人たちが、よい場面を写そうと祭りの関係者のようなそぶりで、一緒に行動しているのもなにか可笑しい。

 昼食には掛けそばにモチを入れてもらって、温まった。少し早かったが旅館に行くと、もう部屋に入れるということだったので助かった。2時過ぎに旅館の前にかせ鳥が来るということで、一服したあとまた続きの写真を撮ることになった。
 「かせ鳥」はその意味が「火勢鳥」にも「稼ぎ鳥」ともかさねられているとか。だから「かせ」が仮名なのかと納得。雪の晴れ間に恵まれた日になった。