2021年6月10日木曜日

ワクチン接種が100万回を超えたことにするさもしさ

 ワクチン頼みの新型コロナ対策で、「一日100万回以上」とぶち上げた。9日の午前中は「100万回」は未達成と官房長官が語って、その後未集計が加わって100万を超えたという首相の発言になったという(朝日新聞)。一日100万回を超えた根拠を問われて「どこで100万回というのはわからないが、このところ大体その数字になっている」。こう使われれば100万越えが独り歩きすることを読んでのことだ。デジタル社会を標榜していても、集計をリアルタイムにやっていない。担当者の人数の問題やらシステムやらの状態がおいつかないのだろう。だからといって見込みも含めて先走ることを政治家がやっていいのだろうか?

 予防接種が7月に高齢者で完了しても未接種のなかで拡大すれば東京も医療はひっ迫することになると京都大の西浦教授が専門家会議で示した。21日に緊急事態宣言が解除された場合8月中に宣言相当の流行になる可能性があると。高齢者の接種率にかかわらず、7月下旬から8月前半までに宣言が必要なレベルに達するとの予測をした(朝日新聞)。しかもここにインド型の変異種や東京五輪開催の影響は考慮していない。「オリパラは若者の夢」どころの話ではとうていない。

 五輪ボランティア7万人の予防接種は「実務的なことを今検討」、「特別な枠(IOCから2万人分)以外にも大規模接種会場を活用できるか検討」している段階とのこと(文部科学委員会畑野議員へ)。いま接種受けたとしても2回目三週間後、そのあと効果出るのが二、三週間かかるとされているのに、ボランティアの健康安全に心もとないよりはないに等しい。

 ワクチン接種が切り札といいつつ、11月末までかかることはマユツバなこと。不渡り手形はもういらない。切り札とはほかの手が前段にあることを言うのであって、医療体制、休業への補償、人流対策等効果的な対策を打たずに「30兆円ある」と言われても、安心も安全もあったものではない。