2015年10月24日土曜日

食べるのか食べないのかが悩ましい

 岩手の親父のところへ行って逗留する。その間従妹が山形へ行って免許証の書き換えをすることになっていた。おやじは最近おかずをあまり食べなくなっていて、なんでも箸をちょっとつけるだけだ。もともと好き嫌いがあるのかもしれないが、漬物と肉類とご飯だけは食べる。釣りが好きだったのに魚をあまり食べない。今はシャケの切り身くらいだ。

 二人きりで食事をすると、従妹が用意していってくれたものは、なんとなく自分が多めに食べてしまう。食べ物は残してはならないという教育とアルコールによる食欲増進が、そうさせる。半端になったものは捨てるわけにもいかない。自分とて自宅ならば、食べたいだけ食べると言う我儘が多少は可能だし、口に入る量は多くは必要なくなってきていることもたしか。

 連れ合いが懸命に作ったものを、年寄りはほんの少しの食欲しかないものだから、口になかなか運べない。だから穏やかでなくなるのもわかる。我が身も、塩分だの、いやその前にアルコールだのカロリーだのを、控えめにというダイエットの圧力が立ちはだかっているのだから、なるべくは口に入れないようにと、闘いを避けることはできない。

 食だけで軋轢が起きてくるなど馬鹿なことだが、毎日のことゆえなにか折り合いをつける方法を捜さなくてはならない。従妹が山形から戻ってきて、土産に親父の好きな「納豆餅」を購入してきてくれた。ところが、歯が抜けていて食べたいが食べられないという。歯の詰め物が取れてしまったり、抜けたりするのもしょっちゅうだ。こういう状態も食べることの障害になっているというわけだ。おかげで、自分も好きな納豆餅を余分に食べることになった。うれしさ半分というところだ。餅は旨かったけれども。従妹が少々太目になった事情がこれでわかった。