2014年1月20日月曜日

キャロラインケネディのツイートで思う

 キャロラインケネディー駐日大使が和歌山県太地町で行われているバンドウイルカの追い込み漁に「イルカ追い込み漁の非人道性を深く懸念している」としたうえで、「米政府は追い込み漁に反対する」とツイートした。
ツイッター上では、ケネディ大使の発言に賛同する意見が相次いでいるという。米ロックバンド、ガンズ・アンド・ローゼズの元ドラマー、マット・ソーラムさんは同大使に「太地に残忍な虐殺をやめるよう迫ることができたら、世界の英雄になれるだろう」と応援のメッセージを送った。米女優カースティ・アレイさんも、「何百頭ものイルカが虐殺されようとしている。日本よ、この惨劇を止めて」と書き込んだ。

イルカ漁は、縄文時代早期の約1万年前から沖ノ島遺跡(館山市沖ノ島)でイルカの骨がでてきているので、このころにはイルカ漁があったらしい。「イルカ追い込み漁」は銛を使って行われる「イルカ突き棒漁」があるが、どちらの漁法であったのかはわかっていない。イルカの回遊量が「イルカの回遊数減少は、餌となるブリの減少によるものと見られる」など、環境改変で回遊が減ってしまったことで、明治の初年頃にイルカ追い込み漁が廃止となったところが多かったという。逆に、明治になってからイルカ追い込み漁が行われるようになったところもある。静岡県の川奈、富戸(現伊東市)、田子(現西伊豆町)などでは明治以降に始められている。

日本はイルカ漁を文化としてきた国だ。沖縄の名護市でもイルカを重要なタンパク源として食用にしている。発祥は不明だが明治の初めにはその漁が行われて、方法は沖縄独特のサバニを用いた追い込み漁で(水産庁の区分では突棒とされており、近年ではもっぱら手投げ銛による漁獲が多いもよう)毎年二月から六月頃に名護湾に来遊してくるバンドウイルカやコビレゴンドウを対象にしている。1970年頃に最盛期を迎え、この頃は市民と漁協による熱烈な応援のもと港の船がほぼすべて出航し、多い時は250頭ほどを一度に漁獲していた。 
しかし以降は九州・沖縄サミット開催へ向けた議論の影響もあって減少に転じ、1989年には自由捕獲が禁止となった。以降は、毎年の漁獲量限度を設定しての実施となっている。主な用途は食用であり、絞られた油は食用油にされ、一部は肥料としても利用された。ただし食用は主に名護市に限られ、古老の話では食用として一般に普及したのは第二次世界大戦後とのこと。

2009年の日本におけるイルカ漁全体の捕獲枠は19,383頭で、実際には11,020頭が捕獲され、その実績内訳は突き棒漁で捕れるイシイルカが9,540頭(リクゼンイルカ型7,767頭、イシイルイカ型1,773頭)とほとんどを占めていた。つまり、イルカ追い込み漁での捕獲数が日本のイルカ漁業に占める割合は全体の1割程度ということだ。

名護市長選で稲嶺氏が当選した。基地建設反対の民意が明確になったが、今後もあらゆる手段で基地建設の強行が狙われると想定される。しかしとりあえず、ジュゴンが生育する豊かな海も守られる希望が持てた。イルカを捕獲することが罪悪だとすることは、100%と当たっているとは言えない。基地建設によって、名護のイルカ漁の文化も破壊され、ジュゴンもいなくなってしまうのでは、「残忍な虐殺」とは違わない。


日本自然保護協会の声明
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への埋め立て申請承認に対し強く抗議する。

公有水面埋立の手続きでも、問題は解決されるどころか、新たに深刻な問題が次々と発覚し続け、沖縄県は度々国に解決を求めてきました。
しかし、本日の沖縄県知事の会見は、これらの課題がどのように解決したのかについて、県民はもちろん、関心を寄せてきた国民が理解し納得できるものではありませんでした。
日本自然保護協会は、国と県に事業の透明性の確保を求め、ジュゴンやウミガメをはじめとするサンゴ礁生態系の環境保全措置が担保されない限り、県に埋立申請を撤回することを求めます。