2013年11月9日土曜日

誤表示・誤表記、嘘は罪

 「誤表示」というのもなかなか的を得ているとでも思っているのか。要するに偽装の言い換えで逃げちゃおーということだから、正しい日本語表記にはなっていない。身の回りにいくらでも存在しているということが、表に出て広がっているのが愉快だ。けっして愉快なことではないのに、あきれかえってそうとしか言葉が探せない。身の回りには言い逃れでも、軽い嘘でもいくらも転がっているけど、たわいのないことならいい。人を陥れることなんかないことなら、ときたま使わせていただいている。それに、だいたい3人くらいが頭を一斉に下げて「…お詫びします」って判で押したようにやるしぐさも、愉快だよな。あれ、昔の紙芝居を思い出す。「哀レ 会社ノエライ方々ハ 一斉ニ頭ヲ下ゲタノデアリマース」なんちゃって。

 先日亡くなった天野祐吉氏の本を読んでいたら、面白いものが紹介されていた。江戸の小話だ。

~ある男が土用の丑の日にウナギを料理しようと手でつかんだら、ウナギはぬるりと上へ逃げる。で、それをつかまえようと、上へ上へと手をやるうちに、足が地を離れ、あれよあれよといううちに男は空の上に消えてしまった。で、それから一年。帰ってこない男のために仲間たちがカタチばかりの一周忌の法要をしていると、空からヒラヒラ紙切れが落ちてくる。みるとそこには歌が一首、こう書かれていた。“去年(こぞ)のきょううなぎについてのぼりけれ/いまも絶えせず登りこそすれ(他筆御免)”~

 蛇足ながら「他筆御免」は手が離せないから他人に書いてもらったということ。おもわず吹き出してしまう、こういう嘘なら必要な嘘と言ってもいいのかもしれない。こんなに嘘と偽装とが安売りされているのでは、天に登り続けている男から、嘘はこういうものだよと声がかかりそうだ。



誤表示・誤表記いや偽装


  おまけ  「嘘は罪」