2013年3月17日日曜日

西新宿の夜懐かし


 西新宿で入った飲み屋は、店の外にビニールの囲いをつけた場所が、時間制限ないとのことだったので、それならと3人で座り込んだ。寒いというほどでもないが、この気候で日が落ちてからはさすがに涼しい。ブリキ缶のようなものに炭を入れて、暖をとれるという、ある種風流な飲み場所だった。

 ひとしきり飲んだころには、店内や店外の席も満員状態になっていた。生ものが値段に相応して美味しかった。牡蠣、しめさば、ホタテと、胃袋が満たされて焼酎も飲んだが、飲んだという自覚の割に、脳の方が酔っていない。焼酎4合でという注文が、瓶入りでなくて、入れ替えた徳利だったから「薄められたか」などと軽口をたたきながら、もう一軒という話になった。

 金曜日とあって、さすがに若者も多い。目指す店はどこも断られてしまって、たかが3人のはいれるスペースがない。半ばあきらめかけたとき、ちょうど昔職場の昼休みに通っていた蕎麦屋があった。戸をあけると、旨い具合に空いていた。友人も日ごろ利用しているので、顔も解って居心地のいい二次会になった。ここの蕎麦は、小千谷そばで、海藻つなぎ、つるつるとのど越しよく食べられるので、気に入っていた。

 最初に味わったころは、そばの味など解らずに、一週間のローテーションで食べていたものだったが、この店で蕎麦を食べてからは、こういう美味いものがあるだと感激した。それから、宴会でもちょくちょく利用させてもらった。顔見知りのよしみもあったのか、焼酎を多めに入れてくれたりした。飲むときにこういう扱いをされるとうれしい。もう店は後継ぎがいなくて、止めるんだと話していた。

 今度は酔いもちゃんとまわってきて、話も弾み「やめないで」と、頼んでも致し方がないことを、別れ言葉にした。解散して駅まで戻ったところで、荷物を忘れたことに気づいた。最初の飲み屋か二件目か酔った頭をめぐらして思い出しながら、一軒目に行った。すぐに分かって受けとることができた。駅まではまた戻るには結構距離があるから、取り過ぎたカロリー消化のために、そこから歩くことにした。家に着いたのは12時だった。