2017年7月10日月曜日

弾道ミサイルが飛んで来たら頭隠せ

 北朝鮮が7月4日にICBM発射実験を行った。核も積み込める強力な兵器を持って、アメリカに対抗するとのやり方は、殺りくを公然化する卑劣なことで、正当なことと認めることはできない。アメリカが韓国との合同軍事演習で北朝鮮に圧力をかけ、韓国と在韓米軍による「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備でも、刺激をしているのだから、それも脅威を増幅し口実に使われている。

 「圧力」が軍事的なものである限りは、どちらかが攻撃の引き金を引く可能性は高くなるばかりだ。武力攻撃を否定しない外交とは、本当に国の力を表すことにならない。それに武力行使が一時「うまくいった」として、それがもたらす破壊、殺人、恨みの連鎖など、不幸の大きさは計り知れない。「うまくいった方が手に入れる成果」は、せいぜい兵器産業がほくそ笑むことくらいでないのか。

 相手国民が殺され、傷つくことで自国が成り立つという有様は、もう歴史の上では過去のものとなっているはずだ。日本も「北朝鮮に圧力を」とアメリカ大統領に会うたびに言い寄っていくのは、昔の言葉を使えば侵略性を意図しているということだ。

 安保法制、共謀罪の成立強行で日本がまた戦争を受け入れる社会に戻っていくのは、憲法を歯止めにしてきたあり方を否定して、戦争の道を選択する後退となる。それがかえって緊張を生み出すもとにもなっている。

 ところで、ミサイルが発射された場合の「心得」が内閣官房からNETに載せられている。テレビでもコマーシャルをしているが、「脅かし」としか判別できない代物だ。

=北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合における全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達について=


 対話でなく圧力と言ってはばからない政府の対応ではなく、対話の方向をちょっとでも動かせるように、尽くすのが日本の憲法に則る仕事ではないか。Jアラートで知らせるから、頭を隠すなり物陰に隠れろというお粗末なことでいいのか。