2016年4月17日日曜日

渓流初釣り楽しんで春を遊ぶ

 友人の別荘に誘われて那須に出かけた。那珂川水系の渓流が別荘近くにいくつもあって、春先のまだ枝の芽吹きがあるかないかくらいの自然のなかに、入り込むことができる。入り込む最も大きな事情は、釣り竿を片手に持っての「釣り」だ。

 前夜は写真展の作品プリントがあって、5枚を仕上げてからの出発だった。9時ごろ山荘に到着して、宴会を始めたので、翌朝の2時まで盛り上がってしまい、起きだして釣り場についたのは昼近くになっていた。

 以前に釣ったところなので、落差のない流れで危険はあまりないとわかっていたし、友人と別れた後の段取りも決めたうえで、ゆったり気分で釣り始めることになった。ここは別荘地として管理されている裏側を流れている渓流だが、依然来た時とほとんど変わらない環境で、そのためかろうじて自然が保たれているのかと、そんな気がした。「リバーサイドなんとか」という看板が見えているが、こんな山中で建て替えられた看板が少々ミスマッチなおもしろさを感じる。

 水量もあり釣りのポイントもそれなりにあるものの、魚のアタリはさっぱりでない。歩く時のバランスも危うくなってきていることを十分自覚しながら、ゆっくり釣り上るうち、ようやくヤマメが顔を出してくれた。小さめのイワナも釣れてきた。イワナはまだ元気がなくて、餌がごく少なかったときの体力から回復がしていないようだった。

 いまごろは大体そんなものだと、魚がいても餌に食いつかないという気がした。ためしに、いつもは仕掛けを3回仕も流せばやめてしまうところ、10回以上流してみたら食いついてきた。残念ながら水の中で反転して逃げてしまったが、やっぱりあまり食い気がないのだろう。

 ヤマメの習性はとても用心深くて、一度食べ損なうと二度と食わない。というより、こちらはまた同じところへと餌を放り込むが、食べることはない。おそらくは、食べ損なった餌がまた流れてきたのはおかしいという認識ができるということではないだろうか。あるいは、温かくなっていく気候では危険を冒すよりも、自然界に常駐する次の餌を狙うほうが、安全という判断もしているのだろうか。

 そんな自分が釣れなかった事情を、自分の釣り技を差し置いて考えてみるのだが、餌を食わない本当の事情は、わかりはしない。あくまで釣り人側の勝手な解釈だ。ともかくも、少なくなった渓流釣りの幕開を味わうことができて、なによりだった。