瀬戸内寂聴さんが、被災地へ行った。集会で話を聞こうと集まった人の中で、「私は写真を撮っていましたが、震災以降撮れなくなりました」と話している人がいた。
寂聴さんは「撮ってください。今の状態を撮ってください」と明快に言い放った。さすがだという思いがした。
実は自分も現地で写真を撮りたいと思っていた。きれいなものや人、風景を撮るのも写真だけれども、記録として撮るのも写真だから。
あってはいけないことをちゃんと記録にとって見ておくのも必要なこと。大事なことじゃないか。
しかし、悩み苦しむ人を真正面から見ることができるか。いささか自信がないのも事実。どんなに言葉で出してみても所詮他人事という気持ちの部分が、無いとは言えない。
写真家の篠山紀信さんは現地へいくと聞いた。
3月11日の津波の時、宮古市役所にいた日本野鳥の会のKさんが津波を目撃し、写真集にした。それを送ってもらったが、一過性の映像と違った、生々しさを感じさせる。
代金は高額ではなかったが、一部を震災孤児基金に寄付とあった。整理のつかない気持ちをなんとしよう。