2013年12月25日水曜日

貸し借りは慎重に

 「借りたもの」を返したら普通のことだけど、なんで借りたかの説明ができなければおかしいと誰しも思う。特に政治家の場合は身辺の潔癖さが要求されるのは当然のことだろう。説明しないまま都庁を去った猪瀬氏は、何年かたったら作品の中で「あのときは」と書きこむだろうか。
 辞任する前のとき、都議会自民党は24日には百条委員会をやると言っていたが、辞めたとなればできなくなってしまった。オリンピック招致に成功して、これから準備体制を作ろうという時に、都政に空白ができて…とNHKがしきりに説明をしている。確実に言えることは「徳洲会マネー」の追及がしにくくなったということだ。都議会民主党の中でも、「貸し借り関係者」がいるのかと調査をしたというから、その影響が心配されたのだろう。

 オリンピック招致することで動く経済効果を心配するむきにも、さっさと決着が必要との打算が先行させた。いったい433万票の重さってこんなものなのだろうかと、空虚な寒々しい感じをどう整理したらよいものだろう。朝日新聞では、共産党の議員控室に辞任の挨拶にいったときに、公開質問状を渡されたが、すぐに受け取らずに立ち去ろうとし、追っかけられて結局特別秘書に渡してくれとのことで収まったとか。闇に葬りたい輩は随分いるだろうが、そういう意味では気の毒なことだ。

 韓国国防軍が、PKO韓国軍の弾薬が足りないから予備として借りたという奇妙な話も、政府の説明がしどろもどろになってきた。武器輸出三原則の例外でというが、「積極的平和主義」と称す範疇から言えば、例外でなく拡大だ。韓国では安倍首相に手を貸したとの批判が出ているらしい。日本政府の説明では「提供」だから、この食い違いも明らかにされなくてはおかしい。

 餃子の王将の社長が4発の銃弾を撃ち込まれて亡くなった。韓国軍が「提供された」銃弾1万発で、任務を果たすことになったら、日本が戦闘行動に参加したのと同じこと。被弾した人は、提供者を告発することになる。どんな紛争でも民間人が巻き込まれることは起きる。あってはならないことに手を貸すことはない。日本政府が弾薬「提供」で韓国国防軍は「借りた」という違いは、民間の取引ではありえないことだ。政治の世界は、こういうことが平気でまかりとおる。承知できることでない。