2013年9月1日日曜日

リスクも造られるもの

 「リチウムイオン電池の不具合」で、ボーイング787のトラブルが続いている。729日までで13件発生した。内容も不明な「安全対策を施して」運航を再開した後も、続いている。使われているGSユアサコーポレーションが製造したリチウムイオン電池は、三菱自動車のハイブリッド車にも使われており、過熱発火したり溶けたりするトラブルを起こしている。産業用として量産できるようになったことで、JR貨物のハイブリット機関車や電車にも使われ始めているらしい。

 小型で容量が大きいものが開発されたて、携帯電話やパソコンにも利用されたが、様々な安全技術と対策をしたのにもかかわらず「発火事件」が相次いで大規模回収になった。こうなると、リチウムイオン電池への信頼性が薄まってくる。会社は「何にでも使える、本当の意味での量産ができるのは10年後くらい」という話をしているという。大丈夫という見極めは、シロウトにはわからないが、結果として現在のものは「実験台」か、でなければ業績優先のやり方かと言いたくなる。

 大橋ANAホールディングス会長は「飛行機は一つのトラブルもなくずっと飛び続けることはありません。6月から定期便(ボーイング787)の運航を再開しましたが、これまで欠航に至る不具合が13件発生(729日時点)しました。とはいえ安全に差し障るトラブルはありません。ANAの就航率は99.3%。これは千回飛んで七回程度何らかの原因で運航ができなかったという意味です。一連のトラブルの原因は、リチウム電池に関わるものと考えられています」と語っている。

 814日には、出発準備中にエンジン用消火器の誤配線が見つかり、修理を行った上で出発という事故も起こした。ほかの機にも複数あったというから、リチウム電池以外の製造にかかわる原因もあるのかもしれない。
 リチウムイオン電池も危ういが、ボーイング787が、これまでエンジン・電気系統油圧バルブの異常、窓ガラスひび割れを起こすトラブルを起こしていることをみると、機体の軽量化、新エンジンの使用その他で、20%の燃料消費ができる航空機というメリットも、抱えるリスクが相当高いことと引き換えているように思える。