2017年6月28日水曜日

臨海部都市開発という名で「資金投資先」を誘導するということ

 臨海部開発の失敗という負の遺産がいまだに響いている。築地の再開発という一度は下火になった言葉が息を吹き返した。なぜ豊洲を市場の転出先にしたのかということが、小池知事になっても明快に浮き出てこない。有害物質があると、当の東京ガスが発表していた土地を格安で購入するということは、普通の分別のある政治家はやるはずがない。
 
 うっすらと思うのは「尖閣諸島を寄付金で買取」とか「東京銀行創設」だとかというちょっと政治とは思えない判断から類推すれば、そんなことなのかなとも思えなくもない。「岩盤に穴」よりも特異、特別な考え方で、豊洲を移転先と考えたと解釈するしかない。いまだに豊洲に決めないのは知事の政治責任だとまでいうのだから、よほどの執着と見える。

 専門家会議では有害物質は、完全になくすことはできないということなのに、顔に泥を塗られているとでも思っているのだろうか。豊洲をという選択は、臨海部開発が失敗してどうにもならなくていた終末の時期だった。石原知事にして臨海部開発は「やめられない」ことだった。

 2001年に「臨海副都心事業会計」を、黒字の「埋立事業会計」「羽田沖埋立事業会計」と統合した。「臨海副都心事業会計」は、5290億円の累積赤字と8815億円の借金を抱えていたのに、「東京都臨海地域開発事業会計」を作る事で、帳簿上は赤字と借金の一部が帳消しになった。しかし5185億円の地方債と金利負担は残った。2009年(平成21年)度からは、最初の地方債の大量償還期。単年度で1000億円を越える借金の返還になる。2002年(平成14年)の「臨海副都心開発事業の長期収支試算」では、「都有地運用収入等の収入の累積が基盤整備関連経費や都債償還金等の支出の累積を上回る」のは2021年見込みとのこと発表していた。

ウィキペディア

 豊洲市場の敷地に、土壌には環境基準を大幅に上回るヒ素・シアン・ベンゼンなどの汚染物質が含まれていることは、2001(平成13年)に東京ガスが公表した。都は同時期に臨海部関係の事業会計を3本統合という驚きの裏技を使っていた。特別会計とは言え、全部都民の財産なのだから開発の失敗のツケを、都民に負担をさせたということだ。築地の豊洲への移転強行によって跡地の利用、つまり失敗に臆することなくまたぞろ「再開発」という道を東京都が選択した。

 森ビルが跡地を待っているということが表面化したのは、根拠の確かさと見えてくる。「築地ブランドを守る」とする再開発も、期待されていることと想像できるが、財政問題の勘定ではこれまでの臨海部開発失敗のツケの分も当然考慮されるべきことだろう。「東京ファッションタウン、タイム二十四が事実上破綻。東京テレポートセンター・東京臨海副都心建設・竹芝地域開発が事実上破綻」という事実も開発のあだ花となっている。