2016年11月13日日曜日

「のり弁」の底に見える日本の恥

 「のり弁」は懐かしい学生時代の弁当だった。それも他になにか添えてあったどうかは覚えていないが、現在のように白身の魚だの天婦羅だのといった惣菜があった記憶はない。ただ、その醤油味とご飯とのコラボレーションだけで旨かった。

 その「のり弁」がいまは大変な昇格をして、TPPの国会資料や豊洲市場の公開資料の脚色として使われるようになった。日本中の海で生態系の環境悪化で、貴重に存在になってきている海苔には迷惑な話だ。黒塗りはタクシーなら好まれて使われるそうだが、ふつう「黒」は暗いかよくないイメージとして使われる。

 市民の目には見せないようにと、かつての戦時体制期の「黒塗り」が復活しているということと同じではないか。情報公開資料ではしばしばその黒塗りが使われて、当たり前のように闊歩しているとよく聞く。目に触れると都合の悪い事柄を、正体が捕まれないように隠し立てをする手段だ。

 邪魔をされずに出来上がってしまえばこちらのものと言わんばかりのこと。リニア新幹線の建設工事では、JR東海がろくに地元に説明と了解もないままに始めている。説明会を開いても、質問にはまともに応えられず、その場しのぎの説明でしのいで、後日回答してもまともなものでない。多くの公共事業がそうであるように、自然の生態系に元へは戻せない負荷を与え、生活に大きな改変をきたし危険を招くという心配にまともに応えることはない。
 
 豊洲市場の建設のように、あとから実は大変なことがあるのだと、問題が表面にでてきて、さて今からどうするんだとバカな成り行きを反省しても、傷をふさぐのは容易でない。この場合の傷は税金が埋めることになるのだから、責任をとるべき事業者(東京都も建設会社も)はそこまでの「見通し」を織り込み済みなのではないかとまで疑う。よく言う「あとは野となれ山となれ」だ。

 「たまたま」だとしても、豊洲水産卸売市場の建設を請け負ったのが大成建設ジョイントベンチャー、崩落事故を起こした福岡の地下鉄工事現場も大成建設の名が出ているし、オリンピックの会場建設受注にも談合がある(下記)とNETで拡散されている。

 オリンピック招致で「大活躍」した電通は、長時間労働で未来ある若者を自死に追い込んで、厚生労働省が強制捜査を受けた。企業の在り方と雇用に対する社会的責任がここで問われている。オリンピック開催の大義名分で、「東北復興」の旗まで使って企業の利益を追求するやり方は、度を越えているのではないだろうか。

 国と地方自治体と癒着しながら事を運ぶのが日本経済の発展なのか?あまりに酷いことと言えるのではないか。一体なにをしているのだろうか。のり弁の底には後ろ暗い日本の恥が隠しようもなく見えている。好き勝手にことを運んでいくことは許されない。

大成建設、五輪会場99.99%落札に疑問の声


豊洲水産卸売市場(2015.7.12)